彼女は言った
「実を言うと私には傍にいて欲しいと願う人がいます。
その人は最後の瞬間まで私の傍にいて欲しいと願う人です。
そして私の最後の言葉を知っていて欲しいと思う人です。
でも、私はそのことを口にすることができませんでした。
それは私にとってもその人にとっても今のままの関係が続くのならそれだけでいいと思ったから。
自分の気持ちを打ち明けることで、手の届くところにいるその人を失いたくはなかったから。
‥私は欲張りで意地っ張りで臆病なんです。
本当は寂しいくせに。
本当はすがりたいくせに。
これ以上何もかも失うことが怖かった。
ダメですね…私って。」
そう言って穏やかに微笑んだ彼女
今現在、彼女の身に降りかかる困難は計り知れない
でも、精一杯気丈に振る舞いながら自分の気持ちを話す彼女だった
私はそんな彼女を見て改めて私自身の弱さを痛感した
おそらく今の私は彼女のように、自分の気持ちを誰かに話すことなどできはしない
そう思った午後のこと
