こんにちは。

「家族」と「葬送」をテーマに

書いております、ライターの橘さつきです。

 

NHK朝ドラで放送中の「ちむどんどん」

批判もよく聞きますが、

制作している人に無礼と思って、

黙って、時々見てきました。

好きな俳優さんも好演していますし。

 

 

三浦大知さんの主題歌「燦燦」は大好きだけど、

 

羽原大介さんの脚本ですが、

たしかに雑過ぎるなーと感じています。

 

沖縄のことを理解したい、知りたい

という思いで見てきましたが、

 

ちょーっとコレって違うでしょう?

と思ったのが昨日、9/26の放送です。

 

チョットチョット、待ってと思って、

今日の放送を見たら、草刈正雄と娘さんが

出ていて、初めて戦争の悲惨な事実に

迫る話でよかったです。

 

朝から家族のゴタゴタは見たくないから

というのはわかりますし、

NHK朝ドラですから、円満な家族しか

ドラマにしないのと理解していますが、

 

 

沖縄ではトートーメー問題

変わりゆく現代では深刻になって

いるのに、

「ちむどんどん」では触れません!

 

昨日の話では、ヒロインの暢子が

夫と息子を連れて、やんばるで暮らし、

ナント実家に食堂を開くという話に。

 

暢子の姉の良子の夫が

本家の長男という設定で

嫁にたいする親族の口出しは描いていたけど?

 

本州のように檀家制度を持たず、 

沖縄独自の祖霊信仰 が根付く沖縄では

先祖代々の霊を祭る仏壇は、

直系男子が継承するのがしきたりです

 

人は亡くなって 七代目にして

家(ヤー)を守る「カミ」 となる。

 

代々のご先祖様が神様となって、

我がヤー(家)を守ってくださっている…、と言う、

先祖崇拝のシンボルが先祖の位牌を一つに

祀ったトートーメー

 

 

沖縄の位牌継承における

「四つのタブー」とは?!

 

①長男が引き継ぐこと、

②弟の位牌と長男の位牌がひとつの仏壇に

並んではいけない、

③父系の血族以外の血が混じってはいけない、

④女性が引き継いではいけない、の四つ。

 

沖縄の位牌継承はお墓とならんで一族の問題

そのため自分の一存ではなかなか解決することが

難しく悩ましい問題なのです。

 

 

沖縄では、仏壇の継承のタブーを犯すと、

先祖の霊が怒り出し、子孫に不幸が訪れる

という言い伝えがあります。

「そんな非現実なことがあるわけない?!」

と思う人が若い世代を中心に

増えているのも現実。

 

ここでのポイントは「子孫に不幸が訪れる

ということにあるのです。

 

迷信かと思いながらも

自分の判断によって子孫に悪影響が及ばないかと、

不安になるでしょう。

 

また、家族が理解しても、

タブーを犯すことを親族が許さない。

 

墓や位牌継承は家族だけの問題では

なく、一族の理解が必要です。

 

長男が沖縄に住まない場合も多く、

位牌を持ち出すことも良くないといわれ、

空き家になった実家に位牌が祀られて

いる場合も少なくないのだとか……。

 

こうしたトートーメー問題から

位牌の永代供養がどんどん進んで

いるようです。

 

先祖代々の位牌、トートーメをお焚き上げして、

その灰を守り継承することで

親族に納得してもらった例も聞きます。

 

たとえ娘が親と同居して世話をしていても、

トートーメー継承は長男であったりするのです。

 

 

トートーメーを継承した者が家も財産もすべて

相続するというのが昔ながらの考え方です。

 

同じ日本なのに?

法律で認められても、

親族が認めない相続。

 

千葉で妻の実家の家業の養豚場を

継いでいる、兄の賢秀は沖縄には

戻らないでしょう。

 

暢子が実家に食堂を開くことに

家族も地元もこころよく受け入れて

協力までしている?!

 

タブーに振り回されるのは自分の世代で

終わりにしたいという人が親世代に

なりました。

 

 

もし、それを描くならば、

昔ながらのしきたりを変えていこうと

するドラマを描いてほしかったですね。

 

暢子の母がもっと大事なキーパーソン

として描けたように思います。

 

 

「ちむどんどん」では沖縄式の棚仏壇に

祀られた暢子の父の遺影はよく映されるのに

肝心の位牌「イフェー」は映さないことが

多くて、トートーメ問題を逃げているなと、

思ってきました。

 

全回を見ていないけど、やっと最近

そのイフェーが画面に

映るようになったのでは?

 

「ちむどんどん」で触れないのは

それだけセンシティブな問題

だからなのでしょう。

 

この沖縄のトートーメ信仰は

琉球王族の中で伝えられてきたものが、

明治から一般に普及したもので、

歴史的にはまだ浅いものだそうです。

 

昭和から、戦後からという地域もあります。

 

沖縄だけでなく、日本の供養慣習も

明治にはいってからのものが

多いのですね。

 

先祖を敬うのは良いことだと思いますが、

先祖の供養をもういちど

原点から考え直してみたいと

思っています。

 

 

拙著が全国の書店で販売中です。

是非、読んでみてください!

 

『絶縁家族 終焉のとき

  ― 試される「家族」の絆』

            さくら舎

 

絶縁家族 終焉のとき ―試される「家族」の絆 | 橘さつき |本 | 通販 | Amazon