こんにちは。

ライターの橘さつきです。

「家族と葬送」をテーマに書いています。

はじめましての方はコチラ

 

前から気になっていた本を

読みました。

予想以上におもしろくて、

一気に読了。

 

それは、

第68回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した

上野 誠氏著

『万葉学、墓をしまい母を送る』(講談社)

 

 

『万葉学者、墓をしまい母を送る』(上野 誠)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)

 

テレビでユーモアあふれる解説に

好感を持っていたけど、

こんなに面白いとは?!

 

著者が13歳の時の祖父の死から始まり、

祖母、父、兄、母を看取り、見送った

万葉学者の死をめぐる儀礼や墓にたいする

省察であると書かれています。

 

著者の上野氏は、ほぼ私と同世代。

43年間にわたる死と墓をめぐる自身の体験を

「心性の歴史」として語った本です。

 

 

13歳の時に祖父の湯灌を

祖母と母に手伝わされたときの

記憶から始まります。

 

昔は家族の手で湯灌をして遺体を清めたもの。

家族のツトメでした。

しかし、いくら身内でも遺体を背負って運んだり、

触れることは恐怖だったと。

 

葬儀にしても、喪主の一存で

決めるわけにはいかない。

親族やら地縁の者の寄り合いのような

もので、延々と話し合い、みんなが納得する

ことが大切でした。

 

大事なのは葬式の「格」。

親類の他家との兼ね合いを考え、

分家が本家をしのぐような葬式はだせなかった。

 

焼香の順番決めでも大揉めになるのが常。

 

そうそう、ちょっと前までは

何でも「わきまえる」ことが

大切でした。

 

私の父は郷里で祖母の本葬と納骨で

喪主を務めたのですが、

子どもには帰省させなかったのです。

 

祖母のお葬式に出なかっただなんて、

ずっと後ろめたさを感じてきましたが、

両親は郷里でのしがらみや面倒な慣習に、

ウンザリしていたのでしょう。

 

 

血縁、地縁で互いに助け合う相互扶助

といえば、聞こえがいいが、

やはりいつの時代も、

人が寄れば揉め事はつきもの。

 

葬式の料理を作るために

婦人たちが集まれば、

「あたたかいアドバイスの

かたちをとるイジメ」があり、

そうした嫁くらべは、

家に帰れば嫁いびりにもつながった

ことでしょう。

 

協力しあうという名目で、互いを監視し合う

社会の窮屈さだってあったでしょう。

 

出来ることなら、

プライベートに立ち入ってほしくない。

そんな気持ちから、

だんだん血縁、地縁のコミュニティー

が薄れていったのでしょうね。

 

葬儀社に頼り、葬儀会館での

葬儀へと変わっていったのは

やはり、それによって揉め事も

回避できて、楽になったと聞きます。

 

葬式や墓の大きさも

競う人間の業。

気になる他人の香典の額。

 

核家族になることで家族の関係が希薄化

弱体化という意見をよく聞くけど???

 

何世帯も一つの屋根の下に

住む大家族で、折り合いを

付ける力も育まれただろうが、

人には言えないような男女の過ちも

起きていました。

 

 

先祖の立派な墓や仏壇を維持し続ける

ことは、栄華が保たれているならよいが、

栄枯盛衰は世の常。

先祖供養ってどこまでするべきなのか?

 

 

そんな負担を子孫に求める先祖でいいのか?

 

もやもやしていた疑問を払拭してくれる本でした。

正解はなく、答えは自分でだすしかないけど。

 

ぜったい面白いから読んでみて!!!

 

 

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