こんにちは。
ライターの橘さつきです。
「家族と葬送」をテーマに書いています。
はじめましての方はコチラ
昨年の1月に他界した直木賞作家
藤田宜永著の
「愛さずにはいられない」を読んでいます。
これは彼の自叙伝的作品で、
支配的だった実母への恐れ、怒り、
嫌悪感、尽きることがない憎悪が
描かれています。
それは藤田が生涯をかけて
書くことになるテーマでもありました。
藤田と母の関係は最期まで
修復されることはなかったそうです。
この作品では彼自身の高校時代の
破滅的な青春が描かれています。
その舞台となる男子校は
私の息子の母校でもありました。
校則もなく、とてつもなく自由なだけ、
自己責任を問われる高校でした。
地方から来て、下宿先から登校する
生徒もめずらしくありません。
自由だけど、
試験では容赦なく落第させるので、
留年生もめずらしくはないのです。
留年生ほど威張っていた学校でした。
卒業アルバムの集合写真に
担任がいないと思ったら、
生徒と同じ学ラン姿で写っていたり、
男子校なのに、
なぜか謎めいた美女が
何人もいる卒業アルバム。(笑)
文化祭には、
手を握れる占いどころか、
ホストクラブまで企画し、
ナンパに励む輩たち。
めちゃくちゃ、やらかしてくれた、
刺激的な男子校生活でした。
息子は最高に楽しかった
高校生活だったと言っています。
思春期の男子の心理や日常を
ちょっとのぞき見る気分ですね。
まあ、母はあまり知らない方が
いいのだろうね。(笑)
藤田宜永は福井市の裕福な家庭の
ひとり息子として生まれ、
その母から逃れるように、
東京の高校に進学をしました。
タイトルの
「愛さずにはいられない」は
レイ・チャールズのヒット・ナンバー。
妻であり、直木賞作家の
小池真理子氏が語るには、
彼が最も恐れ、ある意味怯えさえ
していたのは、
日頃、いくら高尚なことを口にする
知識人ですら、
彼が母親との確執を語る度に、
「でもね、そうは言っても
お母さんは、藤田さんのことを
愛していたんですよ。
いい加減
そのことを認めてあげなさいよ」
と諫められることだったという。
理解されないのはまだいいが、
そのせいで作品自体に反感に
抱かれるのはたまらなかった
と言います。
死ぬまで、
彼の母への気持ちは変わらなかった。
ただひとつだけ、残念だったのは
一生に一度だけと考え、
渾身の想いで書いた
この自伝的小説が
ほとんど読者や批評家の
反応を得られなかったこと。
その彼の遺志をついで、
新潮社から
二次文庫化が実現し、
この本のことを知りました。
「どれほど時が流れても、
変わらない感情がある。
……(中略)……
反省とか、希望とか後悔とか、
そんな安手の言葉に括られる
ような感情とは全く別の、
深遠すぎて、複雑すぎて
安易に言語化し得ないようなものを
人は抱え、生き、死んでいくのかもしれない」
(本書 小池真理子の文より引用)
藤田の声を大事に
聴いてみたいと思います。
彼はなぜ、そこまで母を嫌ったのか?
母という人はどんな人だったのでしょう?
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