こんにちは。

ライターの橘さつきです。

「家族と葬送」をテーマに書いています。

はじめましての方はコチラ

 

 

ケアマネさんとの出会いから、

「家族の役割」を果たそうと

私も自分から考え、義父母の暮らしのことを

手伝うようになりました。

 

夜中まで作業をして、

ぐったり疲れて家にもどりました。

 

とても泊まれる家ではなくなっていたのです。

出来れば、食事もそこでとりたくないほど

臭気も。

 

「あ~あ~、なんでこんなことまでして、

わざわざ嫌われることをしているんだろう?」

 

「だから言っただろう。全部ヘルパーさんに

お願いすればいいじゃないか?」

という夫の言葉にカチン!

 

なんでヘルパーさんには

こんなにも遠慮しないのだろう?

 

夫にしてみれば嫁姑がもめて欲しくないのは

よくわかります。

 

でも、ヘルパーさんにお願いするには、

せめて分別のごみ箱くらい、こちらで

段取りをするのが礼儀では?

その上で、間違って入れても

仕方がないけど。

 

紙おむつの捨て方も、わからなくなって

いたら、家族が少し手伝ってあげて、

マナーよく捨てる工夫をするべきでは?

 

私がぼけた時に、ヘルパーさんに

迷惑をかけないように

娘に手助けをしてほしい。

そう考えて、それこそ「家族の役割」で、

「人間の尊厳」を守ること

 

考えてみれば、夫の主導で介護保険を

利用して、ヘルパーさんに助けてもらって

6年以上になりますが、

 

私たちは、

ヘルパーさんが働きやすい

環境作りなんか、ひとつも考えて

こなかったのです。

 

 

 

ヘルパーさんから要望がでなければ、

義父母の生活はそのままで、

また義父母もヘルパーさんと揉めずに

いてくれたので、

 

義父母から直接、ヘルパーさんに

頼みたいことを伝えてもらえばよい。

 

ヘルパーさんと義父母の間にはいって、

どうすれば良いサポートを

無理なく受けられるかを考えることも

せずに、まかせっぱなし。

 

ヘルパーさんに丸投げをしてきた私たちでした。

 

自分で働いてみると、

ゴミの分別だけで時間をとられてしまう。

人のごみをいちいちチェックするなんて、

まるで生活を覗いてしているみたいで、

嫌な仕事です。

 

 

その晩は眠れませんでした。

 

義父母の家に通うたびに、

夫も私も身体が鉛のように重く

感じ、心身共に疲労困憊。

 

とくにその夜は、精神的に

疲れ果てました。

 

義母が今日の怒りを

忘れてくれていないかな?

 

いやいや、こういうことって、

しっかり忘れずに覚えているもんよね~。

 

せっかく義父母ともうまく付き合って

いたというのに......。

 

私は夫の実家にダイナマイトを仕掛けて、

爆発させてしまったのではないか?

 

これって老人虐待?

 

一睡もできずに、朝を迎え、

夫をたたきおこして

 

「お義母さんに会いに行く!」

 

その日は日曜日。

せめて一日くらいは休めせてと、

前夜は夜中まで片づけてきたのでした。

 

「だいじょうぶだよ。

おふくろは根にもっていやしないって」

 

と嫌がる夫。

だけど今日ばかりは私だけで行けない。

 

「自分の親でしょ! 

あなたが行かなくてどうすんの?」

 

と嫌がる夫の尻を叩いて、

車で一時間半のドライブ。

 

朝、義父母宅に着くと、

義母が笑顔で出迎えてくれました。

 

(あっ~! もしかして忘れている?)

 

しかし、義母はごみ箱の前にいき

私に深々と頭を下げたのでした。

 

 

「さつきさん、ここまでしてくれて、

ありがとう!」

 

「いえいえ、勝手なことをして

ごめんなさいね、お義母さん。

でも、ヘルパーさんにしてもらうためには

モノの置き場所や、ゴミの分け方も

みんなで共有しておかないと。

他のものは一切いじらないからね」

 

まさかこんな展開になるとは、

思ってもいませんでした。

 

嫁に深々と頭をさげた義母を

心から尊敬しました。

 

父は急逝し、実母とはどうにも

修復できない関係のままの私にとって、

介護の手伝いをさせてもらえることは

有難いことだと思っています。

 

きっと、神様から勉強しなさいと、

与えられた課題なのでしょう。

 

 

義母の笑顔に疲れも吹っ飛びました!

 

しかし、翌週に訪ねると、

義母が困った顔で、ごみ箱を指さして、

 

「ごめんね。 

わたし、わかんないの......」

 

蓋なしのごみ箱なのに、

ごみ箱には何も入っていないまま。

ごみ箱の上にレジ袋に入ったごみが

ピラミッドの山を築いていました。

 

「無理だったのか~」

 

急な生活の変化を、

老人に強いてしまったのかと、

ふたたび悩みましたが、

 

 

また翌週、訪ねると、

ほぼ正確にごみの分別が

できています。

 

「お義母さん、すごい!

ちゃんと分けて捨ててくれたのね。

ありがとう」

 

「そう、出来てる? よかった~!」

 

人間の尊厳、お年寄りのサポートを

考えられるようになったのも、

ケアマネさんにスイッチをいれて

もらったからです!