東京で多くの友人達に会い刺激を受けた自分は、再び東京から沖縄へと戻っていった。

とはいえ東京の喧騒に若干疲れを感じていた私は、まず海に行きたいと思った。

沖縄に戻った翌日、シュノーケルのセットを車に詰め込み、いざ大渡海岸へ。

2週間ぶりの海は遊びはやっぱり楽しかった。

自然の魚達と戯れている時は、至福の一時だ。

東京では出来ない遊びに、満足を感じるのだった。

帰りには南部のカフェにより、いつもの景色を楽しむこの生活が、自分にとって心地の良い物だということ改めて実感した。


夜自宅に帰ると、東京で色んな人に会って、色んな刺激を受けてきた自分は、次の仕事をどうするか、その事ばかり考えるようになっていた。

そんなに焦る必要は無かったのかもしれないが、自分と東京の友人達を比べていたのかもしれない。

翌日から職安に通い、求人誌を買い、ネットを使い、あらゆる方法で、仕事を探し始めた。

東京に一度戻ったからかもしれないが、沖縄の仕事と東京の仕事を比べている自分がいた。

知ってはいたが、沖縄の仕事の少なさや待遇面を考えると、先の生活に不安すら覚えるようになっていた。

自らの生活が出来ればいいはずだったのに、さらに余計なものを求め始めていたのかもしれない。

とりあえず仕事を見つけないと生活ができなくなる。

それが怖かった。

とにかく色々あたってみようと思い、幾つかの会社の面接を受けることにした。


沖縄で生活する事がテーマだったはずなのに、一度東京に戻ってみんなを見てから、仕事に対する考え方が少し変わってきていたのも事実だ。

もっとこうなりたいとか、もっと稼ぎたいとか、そんな事を考えるようになっていた。

今の自分の生活で満足していたはずだったのに、さらに欲が出ていたようだ。

見えもしない未来を考えては、不安を抱いたりもするようになった。

沖縄で自分の生活が出来れば満足だったはずの自分が、東京に行ったことで変わってしまった。


面接を受ける中で、移住当初の仕事探しとは違って、色んな事を感じた。

内地の人間を採りたくないという沖縄企業の考え方も痛感したし、東京に比べると待遇もよくない。

欲を出し始めた私は、なかなか仕事を決められなかった。

そんな自分に焦りも感じながら。

やっとの事で内定を出してくれたのは、那覇にある内地企業だった。

結果は、採用だったのだが、勤務地は東京青山でという条件。

いずれは沖縄に戻してくれるとの事だったが、結局東京に戻って働くのだったら、こっちで職探しをしていた意味が無い。

沖縄にいることが自分にとっては大事だったはずだから、結局東京で働く事になるならば、東京に戻ってから仕事探しをした方がいいのじゃないだろうかと思えた。

内定を頂いてから私は即答する事ができず、しばらくの猶予をもらう事にした。


その間、自分の頭の中で東京に戻るという選択肢がでてきた。


そんな事で悩んでいる中、あーきーが自分を夜のドライブに誘い出してくれた。

悩んでる時だったから、彼の誘いはとても嬉しく感じた。

夜の帳が落ちる中、宜野湾を出発した二人は、万座毛から浜比嘉島までとかなりの距離を移動した。

夜の浜比嘉島。

静まり返る中、波の音だけが聞こえていた。

頭上には満天の星空が広がり、自分を魅了した。

沖縄の美しさ改めて感じ、自分がここにいることに感謝の気持ちを抱いた。

そして沖縄の空が好きだった自分を思い出した。

東京に戻るという選択肢を考え始めていた自分は、これを見れるのも最後かなと思うととても切ない気持ちになり、言葉を失ってしまった。


私は今後の未来の事を考えた結果、内定をもらった企業の話を断り、内地に帰るという結論に達したのだった。

わずか7ヶ月という短い期間での帰京は、苦渋の決断ではあったけど、何年か東京でもまれて、成長してから、また沖縄に帰ってこようと、そう思った。

また沖縄に帰ってこれる日が必ず来ると信じて。