久しぶりの東京に降り立った私は、電車を乗り継ぎ我が家へと向かった。

通勤時間の品川駅。

会社へと急ぐ人々でごった返す中、荷物を抱えた私がいた。

東京の洗礼を久しぶりに浴びたのだった。

大きな荷物を抱えエスカレーターから降りるのに手こずっていると、後ろの中年男性が、「ちっ」と舌打ちをする。

東京に着いて早々、気分が悪くなった。

「なんだここは」と、人の冷ややかさに寂しい気持ちになった。


半年ぶりの下北沢駅に着き、慣れ親しんだ実家までの道のりを歩き始めた。

時刻は10時前だったため、駅周辺はまだひっそりとしていた。

静かな街を抜け、住宅街へ。

目に入る景色は、半年経っても何も変わってはいなかった。


実家に着くと両親が出迎えてくれた。

久しぶりの両親との再会だったが、久しぶりという感じはしなかった。

荷物を置きリビングのソファに腰掛けた。

一人暮らしの部屋から比べると、実家はやっぱり広いなと感じた。

しばし体を休め、もとの自分の部屋に入ってみるとすっかり片づけられていて、ほとんど何も無くなっていた。

自分の拠点はもうここには無いんだということを改めて確認した。


東京にいる間、毎日友人に会った。

久しぶりの再会は楽しいものだったし、今みんながどう過ごしているのかを知ることも出来た。

東京というフィールドで、仕事を通して成長していたりする友人達の姿を見ると、なんだか自分が取り残されているような気にもなった。

景色や環境は変わらなくても、人は半年でも変わっていくものだと痛感した。

自分は沖縄で過ごした半年間でどう変われたのだろうか。

多くの人に出会って、色んな物の見方が出来るようになって、新たな価値観を見いだしたのかもしれない。

ただそれは沖縄では通じても、東京の競争社会だとまた違ってくるのだろう。


沖縄には無い渋谷や新宿といった大都会は、久しぶりの自分にとってとても騒がしく思えた。

人が多すぎて、息苦しいそう思った。

一人ゆっくりと心を休める場所がないと感じた。

確かに物が溢れていて物質的には、何も不自由がなく、そして最先端の物が手に入る。

ただそこに価値を求めなくなった自分には、そこまで魅力を感じなかった。


今回の東京で、沖縄に行ったからこそ見えた事もあった。

東京が仕事をする上ではとても優れていて、成長出来る場所だとも思えた。

色んな面で先を行っていて、情報の発信源になっている事も感じた。


色んな刺激を受けて、また東京の良い面も感じることも出来たし、東京に一度戻った事は正解だった。

沖縄にいるととかく周りから取り残されていることすら、忘れがちだったから、友人達と話して自己を再確認することにもなった。

このときも自分と周りを比較していたんだと思う。

そんな尺度をまだ持っていたんだと思う。


東京で感じた事。

それを沖縄に帰ってから、どう思うか、そこがポイントだった。