歩き記 平等院鳳凰堂 | 人生いろいろ

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自分の過去を冒険して文字に残したいと思いつき、ここに記します。ネタがないときには過去~現在~未来と自由に行き来します。

 毎週土日のどちらかは、歩け歩けの日。
 土曜日は何十年ぶりかで、宇治の平等院鳳凰堂に出かけた。4月から5月の時期は色々な花が楽しめる季節で、今回は藤の花を見るためもあった。宇治の抹茶が外国人観光客に人気で、京阪宇治駅を降りると案の定、多くの聞き慣れない言葉が耳に入ってきた。世界遺産人気も相まって、さすがに人出が多い。

 さて、駅からすぐ宇治橋をのんびりと渡り、やや流れの速い川面を見ながら平等院の表参道に入った。参道沿いには、宇治茶に関連する多くの店舗が軒を連らねる。老舗の宇治茶の店や茶団子などの和菓子店、人気の抹茶スイーツの店など、どこからも抹茶の香ばしい匂いが漂う。

 平等院の表門で拝観料を支払い中へ入ると、すぐに左手に藤棚が見えた。ほのかに淡い紫色の花を垂らした藤の花はほぼ満開に近く、可憐な感じがした。匂いはほとんどない。鈴なり状態で花をつける形態は、ゆきやなぎや小手毬など、あるいは高級花のらんなどがあって、どれも美しいフォルムを醸し出す。



 十円玉でお馴染みの鳳凰堂の側面が見え、周りの人たちが一斉にシャッターを切り始めた。藤の紫、ツツジの赤、新芽の緑と色あざやかな自然の中で、修復を終えた鳳凰堂が壮麗に佇んでいた。正面から見ると、格子窓の一角が丸くくりぬかれたところから、阿弥陀如来坐像のお顔が拝めた。予約した内部拝観の時刻までに、ぐるりと一周歩き、2001年竣工した鳳翔館に入った。現物の対の鳳凰が凛と向かい合い、平安当時の銅製の梵鐘がずっしりと鎮座していた。千年以上も前の鋳造や金属加工技術に驚愕しながらも、様々な楽器を弾く雲中の菩薩たちは楽しげだった。

 鳳凰堂の内部に入った。国宝の壁画を間近に大人数で入るので、壁面保護のための説明には念が入っていた。その壁画は千年以上の時間でほとんど判別できなくなっていたが、本尊の阿弥陀如来坐像の金箔はかなり残っていた。上部壁面にある雲中菩薩群は、一部鳳翔館に移設展示されているものの、それぞれが繊細な表情と楽器が彫刻されていた。
 
 世界遺産となっている宇治上神社を見てから、名物の茶そばで一服して、旧商店街をぶらついてから、JRで帰った。そう、後で知ったが、何気に行った宇治神社は、日本遺産に登録されているという。世界遺産の鳳凰堂や宇治上神社とは別に、日本遺産というものがあること自体、初めて知った。登録されたことを宇治神社の神主当人が知らされていないというのも、お粗末な話だ。役所の安易なネーミングに唖然とする。

 当日も約10kmの歩きだった。平坦な道が多かったせいか、息も上がらずに軽快な1日だった。