つくりばなし | 里暮らしの日々

里暮らしの日々

山口県の小さな村で農・学・藝の日々、を綴る

 こんな話が浮かんできた。

 

 田んぼで水が浅いところに、小さな黄色の花を付ける葉っぱの広い、秋には2mにもなる草が生えてくる。これが稲の間にはびこると大変なことになる。茎が3,4㎝にもなる。稲刈りの頃には堅くなってバインダーの刃が立たない。コンバインがこの草を刈り込んで、茎の中の水分が機械の中に染みこんで壊れてしまったという話もある。

 先にに鎌で切っておかないと稲刈りが出来ない。昨年からは引っこ抜くことにした。すると、根が横に張って広がって云っていた。ことしは、田んぼの水を止めて土が硬くなる前に引っこ抜きたい。と、きょうは、畦草を刈りながら、この草を引っこ抜いた。中には、すでに、背よりも高くなっているのがある。両手で引っ張るが、なかなかぬけない。うんと力を入れ直すと、後ろから何者かの腕のようなものが腰に回ってきてた。呼吸を合わせて、ぐいとたくさん土の付いた根っこが上がってきた。

 ほっとして振り向いてみると、なにものも、だれも、いなかった。水路を挟んだ休耕田の草むらがさささっと揺れ、何かが遠ざかっていくように思えた。

 あれはなんだろう。イノシシ ではない。狸ではない。熊でもない。サルだろうか?