現場勤務の思い出45-耐火被覆工事-4 | 建築専科

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筆者は耐火壁工事を担当していたが、仕上げ工事は別の係であった為、意匠の設計者とは今まで打合せはあまりしてこなかった。しかし耐火壁の位置を決めるには当然仕上げを検討しなければならない。勿論設計図はあるのだが、設計では耐火壁は「ALC」であったのを前のブログでも紹介したスタッドを建て、両面にリブラスを張って耐火被覆材を吹きつける工法に変更していた。ALCを変更したのは、高層の鉄骨造では大地震時での層間変形が大きく、間仕切り壁として追従しにくいからである。

 

当建物は本社ビルの為、一般階は事務所の大部屋なので、共用部の耐火壁のみ検討すればよく、一度決めればよかった。しかし本社ビルでは食堂階と役員会、会議室等があり、それぞれ耐火壁が設計されていた。ところが設計図はあるのだが、設計者としてはまだ時間があると思っていて、もうすこし凝ったデザインや仕上げ材を考えていたのである。

 

仕上げ担当の係へ早く設計を決めてもらうよう頼んだが、彼らには他の仕事もあり、設計者には中々催促してくれなかった。仕方が無いので、仕上げ材はともかく、防火壁の位置だけでも決めてもらうよう筆者自身が設計者と打ち合わせる事にした。その為に自分で詳細図を書いて設計者に確認してもらう手順とした。

 

A3のスケッチなのだが、多分50枚くらい書いたと思う。当時トレッシングペーパーに書く鉛筆は2Hが多かったと思うが、筆者は2Bで書いていた。2Bでは濃淡が表現できて、なんとなく設計者の書くデザインスケッチ風に思えたので、真似をしたのである。

 

耐火被覆工事は柱、梁は2回の吹く付け作業を行うが、2回目は少し日にちを置くので、上の階の1回目を先に行う。筆者が焦っていたのは2回目の時に耐火壁の吹きつけを同時に行いたいから、そうでないと吹き付け作業が3回になってしまい、施工効率は悪くなるからであった。

 

2Bで書いた筆者の検討図のせいではないが、流石に設計者も10~15mmの違いであるから、耐火壁の位置の承認について協力してくれた。

 

旧建築専科 20171004