信濃毎日新聞2014年5月4日の社説「斜面」を紹介します。
上牧里山が目指すもう一つのものが「日本最初のパブリックフットパス」です。
英国では全国的に公認されたフットパスが多くあるお話を信州大学農学部上原助教からお聞きしてまさに上牧里山の多様性と住民自ら係わる里山づくりを全国的に世界的に知っていただき、気楽に訪問していただくことが夢であります。
「英国人の生活には歩く楽しみが根付く。全国に整えられた公共の小道「フットパス」は全長20数万キロ。自然、街並みや歴史を感じながら、ゆっくり歩を進める。そんな文化を100年以上かけて育ててきた。◆産業革命の18世紀を中心に、領主らが共有地を私有地に囲い込む動きが活発になった。生活道路を分断された人々が通り抜ける権利を求めた。労働者の間ではウォーキングが人気になり、私有地も歩けるよう運動。1932年「歩く権利法」が制定された。◆誰でもフットパスを歩けるようになった。その代わりに散策者は地主のプライバシーを侵害しない-などの義務がある。地主はフットパスを維持する責任を負うという。歴史も事情も異なるからそのまま持ち込めないけれど、日本も独自の工夫を重ねて歩く文化を普及してゆきたい。◆全国を見渡すと、英国とふうけいが似通う北海道でフットパス活動が盛んだ。広大なゆえに自動車道の整備が中心だった大地で、歩く価値が見直されている。大学の研究者、役場、建築士会に小学生も加わって、自然や歴史を学びながら整備している地域もある。◆見渡す限りのトウモロコシ畑に一筋の切れ目がまっすぐに走る。肩幅ほどのフットパスだ。農民が大切な作物を一畝だけ刈り取って整備した。
英国のフットパスを紹介する記事を読んだ。「公共」と「私」の絶妙なつり合いはさすがである。」
資料;信州大学農学部森林科学科上原三知助教提供

