三月も下旬だというのに寒い朝だ。少し前には霙が降っていた。エアコンは使わずに炬燵に潜り込んでいるが、手が悴んでいる。
湯の町のすぐ行き止まる朧かな 黛執
肥柄杓立てかけてある野梅かな 〃
ぼてふりの伝ひてきたる春の畦 〃
暮れかねてをり鋳掛屋ゐるあたり 〃
そういえば、しばらく温泉に行っていない。朧の町を歩きたい。肥柄杓はちょっとだけ記憶にある。祖父の姿を思い出す。ぼてふりと鋳掛屋は時代小説の中だけの知識だが、俳句になるとイメージが鮮明に立ち上がってくる。蕪村は王朝時代を詠んだが、黛執がこれらの句を詠んだのは平成24年。まさに郷愁。
雨雲
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