麦の穂

しばらくを穂麦くるしくしづまれる 悌二郎

するどき穂麦に触れぬ手ふれゆく 〃

しろき空穂麦にさやり裂かれたる 〃

 麦の穂の三句。ちょっと難解。一句目は「くるしく」が分からない。無風の日だったのだろうか。風に靡くことのできない穂麦の沈黙は切ないということか。二句目、「触れぬ」の「ぬ」は完了の意味か、打消しの意味か、何度読んでも判断がつかない。完了の意味なら、そこで切れることになるが、下五が意味不明。打消しなら、「手ふれゆく」の手は誰の手だろう。とりあえず、完了の意味で読んだ。下五は強調のためのリフレーンかも。三句目は少し分かる。「さやり」は「障り」で触れることだろう。穂麦が鋭く空に突き刺さっているのだ。「しろき空」は白い雲のことだろう。

キバナコスモスと薄紅葉。上神梅駅

 

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