花杏新芽立ち添ふうすみどり 悌二郎

鶸の来て楉(しもと)の桑は芽吹きたる 〃

 奥多摩晩春の句が続く。杏の花は悌二郎好みのようだ。新芽がうすみどりなのは言わなくてもと思うが、これは短歌の手法なのだろう。一句一章、言葉の流れ、声を出して読みたい句だと思う。二句目、鶸は秋の季語だが、一年中いるので悌二郎は拘っていない。楉は細い枝のこと。芽吹きのころの鶸の素朴な美しさを言いたかったのだろう。

 

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