東風の波舳に富士を沈めつつ 悌二郎

春の潮富士のとがりは鋭くあれど 〃

 海の向うの富士山。一句目は浮かばせたのではなく富士を沈めている。二句目は大らかなはずの春の富士を鋭いとしている。二句とも助詞で終わっている。これは俳句以外では通用しないレトリックだろう。本来ならその後に言葉を続けなければならない。特に二句目、この日悌二郎は何か釈然としないことを抱えていたのかも。

落ち梅

 

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