葭すずめ葭なほ粗み榛に鳴く 悌二郎

ひとり来て畦火かけたり見てをらぬ 〃

 「なほ粗み」なので風が強い日だったのだろう。葭はすさまじく揺れていて止ることが出来なかったのか。近くにある榛の木の梢で鳴いている。中七下五の調べは悌二郎ならでは。昭和の時代(昭和七年)の郊外の情景だ。二句目、畦火を見ていないのは畦火をかけた本人である。農夫の姿に関しては何も言っていないが、その性格は色々と想像できる。「ひとり来て」がその辺りことを暗示している。放り投げたような終わり方が悌二郎の句としては珍しいと思った。

新桐生駅のプラットホームから見た早春の山並み

 

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