子雀の鋭声もきこえ椎の雨 悌二郎

撫子に日はこぼれつつ土用波 〃

 この二句、基本的には取合せの句で、視覚にあるのものは各々二つだ。一句目は子雀と椎の木。鋭声は聴覚で雨は雰囲気といっていいだろう。二句目「日のこぼれつつ」ははっきりとは見ることのできない光の写生である。両句とも、その取合せは離れ過ぎてもいないし、突飛でもない。子雀と撫子を詠んだ句だが、「椎の雨」「土用波」という気象は頃合の現象だ。この辺りの呼吸は流石に悌二郎だと思う。

春日部駅東口、公園橋からの眺望

 

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