門川の藻がにほふなり五月雨 悌二郎

大風の葭切鳴くや葭の中 〃

 坦々と詠まれている。淡々といった方がいいだろうか。悌二郎は俳句形式の中で呼吸しているように思う。一句目は呼吸をそのまま言葉にしているような感じだ。降ったり止んだりの雨の中、何となく藻の匂いを捉えたのだ。門川は生活用水の流れだろう。日常の中の認識が詩に昇華いている。二句目、葭切が葭の中で鳴くのは当たり前だが、それが強風の中ということで、少し不穏な感じがする。大きく揺れる葭の中にいる葭切は何時もよりも激しく、何かを訴えるように鳴きいていたのだろう。

四十雀。拡大したのでピンボケだが。

 

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