昨日、もっと近世俳句を読みたいと書いたが、野火に入会して俳句を始めた頃に「日本古典文学全集『近世俳句俳文集』小学館」を買ったことを思い出した。都丸書店500円とラベルが貼ってある。昭和47年第1刷発行とある。出版文化華々し頃の頑丈にできた立派な一冊だ。買うには買ったが何時か読むこともあるだろうとほったらかしてあった本である。都丸書店は高円寺にあった古本屋。高円寺には昔住んでいたこともあるが、引っ越した後も仕事の縁で時々立ち寄った街だ。しかし残念ながら都丸書店高円寺店は2013年閉店したそうである。私の本棚には森澄雄の『花眼』飯田龍太『百戸の谿』『大野林火句集』など少なからず都丸書店で買った本が並んでいる。

にがゝしいつ迄嵐ふきのたう 山崎宗鑑

手をついて歌申しあぐる蛙かな

さむくともひになあたりそ雪仏

 『近世俳句俳文集』に最初に紹介されているのは俳諧の開祖として名高い山崎宗鑑。「蕗」「と吹く」をかけたり、古今集の仮名序を思わせたり、雪だるまが日に当たって解けるのは当り前。当時の俳諧は詩を目指していなかったのだろう。でも俳句の原点であることは何となく分かる気がする。

 高円寺の蚕糸の森公園の紅葉