思いの外晴れたので庭木の剪定をした。庭といっても四畳半程度の広さだ。我家の庭にあるのは柘植、夏茱萸、椿、南天、紫陽花、石蕗、万年青、青木である。それでも放っておくと原生林のようになってしまう。

あまり日当たりが良くない庭。

七十路の月日逃げゆく冬桜 野口夏桐

捩花や無用の杭がつんと立つ 折笠二風

立春や職擲つて一壺天 荒巷樹

 他界してしまったが、嘗て野火俳句会で活躍した俳人の句。夏桐さんと二風さんとは句会を共にさせていただいた。巷樹さんは句集に拙い跋文を書かしてもらったことがある。今思うと重鎮の句集に跋文を書くなんて赤面の至りである。掲げた三句はやはり男性の句だと思う。今さら俳句の世界で男女を云々することに意味はないだろうが、それぞれの句にお三方の風貌を思い浮かべることができる。男性の骨格のように堅固な作品だと思う。『野火』の一時代前の句風だ。もう一度読み直してみようと思った。俳壇での知名度は低かったかもしれないが、きっちりと俳句に向き合った作家が『野火』には数多くいた。

 剪定のついでにプランターのゴーヤーも片付けてしまおうと思ったが、まだ幾つか実がぶら下がっていたので、もう一週間待つことにした。食べなくては。