雨の一日、国立女性会館という処に行ってきた。野火俳句会の来年の鍛錬会のための下見である。広大な敷地に建つ宿泊、研修施設だがコロナ禍、時々散歩の人とすれ違うだけでどの施設も使用されておらず閑散としていた。一通り講堂、会議室、宿泊予定の部屋を見せてもらったが、開催予定の来年の五月はどうなっていることやら。赤とんぼが小雨の中を群れ飛んでいた。昨日も雨、今日も雨、明日も雨らしい。小雨ながらしっとりとした、しっかり濡れる雨だ。

秋の雨ながら明るき山の道 今井杏太郎

 この句を読んでストレスを感じる人はいないだろう。誰もが歩いたことのある郷愁の道である。秋以外の雨ではだめだ。言葉の組合せもこれ以下も以上も無いと思う。

蟷螂の傾いてきてたふれたる 今井杏太郎

 俳句は材料が少ないほどいい。かまきりが倒れているところを見たことは無いが、あの細い脚はいかにも倒れそう。時々開く句集から引いた。(句集『通草葛』)

 道路に出てしまって風に揺らめいていた蟷螂。