恋頃果実~ちょっと変わった恋愛小説~

恋頃果実~ちょっと変わった恋愛小説~

長編百合恋愛小説書いてます。



これが私の精一杯orz

この物語はフィクションです。作中の登場人物・団体名などは一切実在しません。

またこの物語は俗に言う百合小説(♀×♀)です。直接の描写はありませんが、同性愛・同性愛を取り扱った創作に嫌悪感をもたれる方はご覧にならないでください。閲覧は自己責任でお願いしますね。

タイトルは「うそとあぶく」さまの「恋頃少年50のステップ」をお借りしました。うそとあぶくさまはこちら です。

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 イルミネーションのきらめく12月23日。明日はいよいよクリスマス・イブ。パーティーの日だ。町には音と光があふれ明日を祝福するかのようににぎわっている。こんなにクリスマスを待ち遠しく思ったのは幼い頃以来。なんてったって今年は特別なのだ。明日は午後3時に隣町の駅前で待ち合わせることになっている。それから買出しに行って、武士の両親が帰ってくる9時までには引きあげる予定。つまり6時間も渚と一緒にいられるってこと。渚とはクラスが違うからそんなに長い時間渚と一緒の空間にいるのは初めてのことだ。もちろん二人きりではないけど、クリスマスという格好のイベントを渚と一緒に過ごせるというだけで運命の女神に感謝したくなるくらい幸せだった。

 さてクリスマスパーティーの前日にただただ町をうろついているのかといえばそうではない。明日のプレゼント交換のためのプレゼントを買いに来たのだ。電車で5駅目の駅前は地元と違って店の数も多いから買い物といえばだいたいここに来る。クリスマスの前日だからか冬休みが始まっているからか中高生が多く、クリスマスの賑わいを盛り上げていた。しかし、一口にプレゼントを買うといっても誰が私のプレゼントをもらうかわからないのだからなかなか難しい。八雲の好きなものなら大体わかるけど、それを渚が喜ぶだろうか?さっきからデパートに入ってみたり雑貨屋さんを覗いてみてはいるがなかなかこれというものが見つからない。しかも、雑貨屋さんの中は楽しそうにはしゃぐ女の子たちでいっぱい。あれでもない、これでもない、キャーコレ可愛い。とても可愛らしい光景ではあるがこう混んでいるとげんなりしてくる。やっぱり八雲をつれてくるべきだったかな?そうすれば少しは気がまぎれたのに……。ちょっと休憩しよう。と目についたコーヒーショップでカフェラテを買って椅子にすわる。コーヒーの香りと暖かい店内にほっと息をつく。いまごろ渚はどうしているかな。やっぱり私と同じようにプレゼントを買っている?それとも明日のケーキの材料?渚も明日のクリスマスパーティーを楽しみにしているかな……。渚のことを考えているとだんだんやる気が出てくるのだから不思議だ。温かいコーヒーを飲み干して私はさっと席を立った。


 「あれ?八雲、今日渚は?」
昼休みも中ごろになるころ、琴子の声が聞こえて俺は八雲の席に視線を投げた。今日に限って琴子はなかなか4組にやって来ず密かにいらいらしていた分その喜びはひとしおだった。
「ちょっとごめん」
話していた友達にそう断って琴子の元に急行する。
「おはよう!琴子ちゃん」
ぴらぴらっと手を振りながら近づくと琴子は努めてクールに「おはよう」といった。
「武士、川嶋みなかったか?」
八雲がちょっと困ったようにそう言う。
「さあ。教室を出て行ったのを見たような見ないような。まあ、そのうち帰ってくるでしょ」
「……まあね」
渚を探しに行くよりは待っていたほうがいいと思ったのか琴子はため息をひとつついて空いていた椅子に腰を下ろした。八雲がちらりとこちらに視線を寄越す。ひとつ頷いてやると八雲はちょっと考えてから
「あのさ、琴子。武士がクリスマスにパーティーしようって言ってるんだけど、どう?」
と聞いた。
「パーティー?」
琴子の左の眉が胡散臭げに跳ね上がる。ここは話術の見せ所だ。
「そう。クリスマスパーティー。場所は俺んち、食べ物は近くのスーパーに買い出しに行けばいいし、プレゼント交換したりしてさ、楽しそうだろ?そうそう、ケーキは渚が焼いてくれるってさ」
「渚が!?」
琴子がびっくりしたように身を乗り出す。
「そう。24日は休みだから朝から焼くって」
「へー。じゃあ渚も来るってことかあ」
琴子は考え込むように視線を上に向けて唸っている。やっぱり女の子が1人だってことが気になってたみたいだ。渚を誘っておいてよかった。
「そうそう。八雲も来るっていうし、4人ならきっと楽しいよ」
な、八雲!と肩を叩けば八雲は口の中で「まだ行くとはいってない」とぼっそりつぶやいている。でも大丈夫きっと来るだろう。上手くいきそうな予感に俺の顔はほころびっぱなしだ。そのとき、
「あ、琴子ー。聞いた?24日の話」
渚の高い声が後ろから聞こえてくる。渚はすでにノリノリだから強力な助っ人といえるだろう。ナイスタイミングだ。
「あ、うん。渚も来るんだって?」
渚のほうを振り向くと琴子がそう聞いた。
「うん。そのつもりだよ。友達とクリスマスパーティーなんて小学生以来だから、楽しみ。私がんばってケーキ焼くからね」
渚のツインテールが楽しそうに揺れる。その様子に琴子の表情が和らぐ。
「うーん。渚が行くなら私も行こうかなっ」
ついに琴子が微笑みながらそういった。
「わーい。やったー」
渚がぴょんと飛び上がって琴子の首に手を回す。それに照れたように笑う琴子もめちゃくちゃかわいい。俺は思わず右手を握り締めてガッツポーズを作った。これでクリスマス・イブの予定は決まり!どうにかいい雰囲気を作って、取って置きのかっこいい台詞を吐いて琴子の気持ちを掴む!クリスマス・イブまであと6日。俺の期待はどんどん膨らんでいった。



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05:ひー難しかったー。何も考えてなさそうなやつの一人称って難しいですね。考えるより先にぱっぱと動くので説明不足になりがち……。ちゃんと内容伝わりましたでしょうか(心配) 口では琴子ちゃんといいながらも心の中ではちゃっかり呼び捨てにしている武士がちょっと愛しい。書きにくいけどね!


 ジングルベールジングルベールすっずがー鳴るー♪
朝飯を買いに入ったコンビニでかかっているにぎやかなクリスマスソングに俺ははっとした。クリスマス。そうもうすぐクリスマスだ。恋愛三大イベントのひとつといっても過言ではないクリスマス。それを琴子と過ごさずして誰と過ごせばいいのだ。朝食用のパンを掴みながら俺の目は闘志に燃える。確かに琴子は俺に冷たい。はっきり言って付き合うのは絶望的なくらいだ。でも、恋愛に不器用な女の子なんてみんなそんなものだろう。今は冷たくったっていつか恥らいながらお弁当を差し出してくれる日が来るに違いない!その日に早く近づくためにもクリスマスは外せない。二人きりとは行かないまでもどうにか琴子と一緒のクリスマスを過ごせないか……。とたんにひとりのクラスメイトの顔が思い浮かんで俺はにんまり笑った。

 「なあ八雲。もうすぐクリスマスだよな」
登校して八雲の顔を見つけるなり俺はそう声をかけた。八雲は一瞬たじろいで一歩後ろに下がってから体勢を戻して
「なんだよ急に」
と不機嫌そうに言った。
「クリスマスといったらわかってるだろー。琴子ちゃんを誘ってパーティーできないかと思ってさ。もちろん八雲もきていいし、琴子ちゃんが女の子1人で寂しいなら渚を呼んだっていい。どう思う?」
「どう思うったって、場所は?どうするんだよ」
「俺んちでやればいいよ。うちの親クリスマス・イブには毎年二人でデートしに行くから遅くまで帰ってこないし、俺兄弟いないし。スーパーとかで食べるもの買ってきてさ、楽しそうじゃん?」
八雲の肩に手を置いてにっと笑うと八雲はしばらくだまって俯いていたが、やがてしょうがないなあというように首を振った。こうなればしめたもの。八雲は押しに弱いのだ。
「しょうがないな。琴子が来たら話してみるよ……」
「よっしゃ!じゃあ、俺渚にも話しとく。いいよな?」
八雲がうなづくのを確認もしないで俺はすでに席についている渚のほうへ走り寄った。


 琴子の家の玄関を出ると冷たい風が容赦なく肌を刺した。外の寒さはきつかったがこのまままっすぐ家に帰るつもりにはなれなかった。恋をすると女は綺麗になるって言うけど、それは本当なんだと思う。川嶋の話をしている琴子はいつもよりもずっと生き生きしている。悔しいくらいに。琴子は気づいていないけど、ずっと琴子が好きだった。ほかの女の子とは違う接し方も、すっと鼻筋が通ったシャープな輪郭も、意外と長いまつげも高い背も、好きなところを数えたらきりがないくらいだ。それでも気持ちを伝えることはできないでいる。琴子が男を好きにならないことも、川嶋に恋してる今が最高にしあわせだってことも頭ではわかっている。それでも琴子を思う気持ちは変わらない。傍にいれば触れたくなるし、かといって会わないのは寂しい。琴子が川嶋に恋をしはじめて俺と話す機会が増えたのはちょっとうれしいけど、それもいつまで続くかわからない。そう思うと心がすうっと冷たくなる。琴子を川嶋に取られたくない。琴子には嫌われたくない。相反する二つの思いをどうしていいのか今の俺にはわからなかった。
「ただいまー」
「あ、おかえりーコート脱いでらっしゃい。もうすぐご飯よー」
「うん」
玄関で積もってしまった雪を払う。
「あら、だいぶ降ってきたのねぇ」
落とされた雪の多さに母さんが目を丸くする。
「まあね」
まさか外でぼんやりしていたなんていえずあいまいに返事をして二階に上がる。冷えた自室の電気をつけ開けっ放しのカーテンを閉めるとき窓越しに琴子の部屋のカーテンの隙間から明かりが漏れているのが見えた。俺はひとつ息を吐いてカーテンを閉めた。



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04:急に展開がシリアスになってしまいました;八雲クンは一途なんですね。そして心の声が多いですね(笑)ちなみに川嶋とは渚の苗字です。渚に統一しようかとも思いましたがなんだか不自然なのでやめました。次回はまたおばかなノリに戻りますよー。





 「それで、一緒に駅のホームで肉まん食べて帰ってきたんだ」
いいでしょ~!と笑いながら琴子は俺の鼻先に指を突きつける。とろけるような笑顔はまるで恋する乙女。男勝りの琴子がこんな顔をして見せるなんていったい誰が予測しただろうか。その相手が女だってことが琴子らしいといえばらしいけど。
「で、俺は何で呼ばれたんだ?」
そう、ここは琴子の部屋だ。放課後琴子が世にも恐ろしい笑みを浮かべて「今日、6時以降に私のうちに寄りなさい」なんて言ったからわざわざ琴子の家までやってきたというわけ。といっても家が隣だから大した手間ではないし今でも頻繁に行き来していて親同士も心得たものだから心配ない。問題は呼び出された理由だ。やっかいなことじゃなきゃいいけど……。
「あ、それね。武士のことなんだけど」
うっ。やっぱり。
「先週八雲が紹介してくれたときは友達になりたいって言ってたよね。でもそのわりにはやけに色目使ってると思うんだけど、八雲何か知ってる?」
そういわれて内心ぎくりとする。琴子は小さい頃からボーイッシュな魅力があって男からは人気があった。そのわりに男とばかり遊んでいたから中学生くらいになると言い寄られることも多かったらしい。だからなのか、高校生になるころには男に恋愛感情を向けられるのをことさら嫌がるようになったし、恋愛感情に敏感になっているようだ。まずい。非常にまずい。武士の手前ここは黙っておいたほうがいいんだろうな。
「そうかな?武士って誰にでもあんなだよ。明るいって言うか軽いって言うか」
「そうなんだ……。ならいいんだけど。悪いやつじゃないしさ」
ぶすっとしたままで眉根にしわを寄せて腕組みする琴子。
「でも、渚を呼び捨てするのは許せなーい。武士ってそんなに渚と仲いいの?」
「なんでも同じ中学だったらしいよ。一年の時のクラスも同じだって言ってたかな」
「ええ!ずるい」
琴子は右手を振り上げて叫ぶ。普段は年の割りに大人びているように見える琴子の子供っぽいところを見られるのは幼馴染の特権だろう。
「でもそれじゃしかたないなあ。私と八雲みたいなもんだよね」
それもちょっと違うと思うが俺はあえて黙っておいた。
「じゃあ、そろそろ俺は帰るよ。もうすぐ夕飯だし、母さんが呼びに来る前に帰らないと」
そういって立ち上がると「玄関まで送るよ」といつもどおり琴子がいった。