3歳のあなたは、僕を呼びません。
どんな時も、ママを呼ぶ。
オムツをかえる時も、
トイレを失敗した時も、
「ままぁー。
ままぁー。」と。
あなたに、僕は見えていない。
でも、仕方ありません。
あなたが産まれるまで。
僕は、上3人の育児に必死だったから。
双子が0歳の頃から、僕一人で全ての家事と育児をするんだって。
3人目が産まれても、するんだって。
でも、あなたが産まれても、
あなたの分までの余裕はなく。
ママに任せっきり。
でも。
ある日。
僕に、転機がやってきます。
ママが熱を出し、寝込みました。
歩くことも出来ず。
もしかしたら入院するかもって。
だから、いつもより長くあなたと過ごしました。
あなたは不思議でした。
僕が、ママを心配していることを知ってか知らずか。
何も言わずに頭をなでてくれました。
嬉しそうにすると、誰よりも大きな声で喜んでくれました。
お風呂では、ウルトラマンの人形を持ち「遊ぶか!」と、笑わせてくれました。
もしかしたら。
あなたは。
今までもずっと僕を見ていたのかもしれません。
見ていなかったのは、僕だけ。
じゃあ。
いったい僕は、今まで何を見ていたのか?
僕が見ていたものは、あなたより大切なモノだったのか?
その後。
ママに、お願いしました。
「カラダが良くなっても、しばらく一人で寝てください。」って。
「ウソをついてください。」って。
ごめんね。
本当は、もうママは大丈夫なの。
でも、まだどうしても聞きたいから。
ほら...また聞こえる。
「ぱぱぁー。
ぱぱぁー。」
今日、3歳のあなたは。
僕に一輪のお花をくれました。
まるで、そうすることが当然かのように。
僕にお花を贈った。
花の名は「ブタナ」。
どこにでもある花だけれど。
僕にとっては、花束と一緒。
きょうもありがとう。
サトウさん