クリニックとは違い、大きな病院だ。

ここで手術してもらうんだなと思うと、気が引き締まった。


受付すると、マンモグラフィーとエコーの検査をしてから診察になる、と説明を受ける。

また検査かーと気が重くなるが、言われた順番に

院内を進む。


検査はさほど待ち時間もなくスムーズに行えたが、診察室に呼ばれるまでが長い長い…

待合室は多くの人であふれている。


やっと呼ばれて診察室に入り、担当医とはじめましてのご挨拶。

クリニックでの経緯を確認し、マンモとエコーの結果と合わせて改めて私の病気について丁寧に説明を受ける。

タモキシフェンは、処方された分を飲みきり終了とのこと。内服してると体がだるかったので終了は嬉しいような、飲まなくても大丈夫なのかやや不安にもなる。

クリニックでも色々と検査は受けたが、今後の手術に向けてこちらの病院でも造影剤を使ったCTとMRIの検査が必要とのことで、検査の予約を行う。

手術は早くて4月。3月は予約でいっぱいらしい。


ここで医師から

『家族歴はなしとのことですが、43歳という年齢と、同時性両側乳がんということから、遺伝性乳がんの可能性が考えられます。』

と、遺伝子検査についての説明を受ける。


アンジェリーナ·ジョリーを例に、検査の結果陽性であった場合は、両胸とも全摘し、さらに卵巣の予防的切除についても検討していくという。

遺伝子検査を行うかどうかは、本人の希望で決める。今すぐ決めなくてもいいが、検査はアメリカに輸送して行うので、結果が届くまで3週間ほどかかるとのこと。


【両側全摘】の可能性が重くのしかかる。

私『検査して陽性だったら、全摘は絶対なんですか?私が全摘したくないと言ったら、たとえ陽性でも温存はしてくれるんですか?検査しなかったら、陽性かもしれないと思いながら過ごさないといけないし、でも両方とも全摘って…』

これまでにない動揺が、表にでる。


医師『遺伝子検査で陽性となったら両側全摘をすすめるが、どうしても温存したいと本人が希望すれば意思は尊重します。ただし、医学的には今後のリスクも考えると、両側全摘をおすすめします。人工乳房や自家組織での乳房再建も行えますし。』


【そっか、乳房再建もできるし陽性なら両方とっちゃおう!】

と、すぐには考えられなかった。


右胸のしこりが乳がんかもしれないと思った時、再建について考えた。

もし全摘が必要と言われて再建するとしたら、私は自家再建を選択したいけど、手術の負担が大きくて大変そう。

いざとなったらどう決断するかわからないけど、もし全摘が必要となったら、再建しないかもしれないな…とぼんやり考えていた。


でも、両側全摘を想像したら、同じようには考えられなかった。私の胸は小さいけれど、小さいのと全く無くなるのは全然違う。

これから毎日、何度も、乳房も乳頭もない、両側に傷のある上半身と向き合って、私は

【今生きてるのは両方取ったおかげ】とポジティブに思えるだろうか。

私は私を受け止めて、私の人生を私らしく生きていけるだろうか。


【右胸に乳がん】から【両側に乳がん】であることを受け入れるので精一杯なのに、これで両側全摘とか、どうやって受け止めたらいいのかわからない。


不安なまま決断するのはとても難しいが、家に帰って考えても、結局決断するのは私だ。

検査結果が陰性なら安心だし、もし陽性なら【あのとき検査しておけばよかった】とあとから後悔するより、今検査を受けて結果に対処するほうがいいか…

気持ちが落ちついてから検査を受けるとして、結果が届いてから今後の予定を組むだろう。

そしたら手術がずいぶん先になりそうだ、それは嫌だ。

いくら悩んで考えたって、たぶん私はやらないという選択はできない。

よし、どうせやるなら、もうやっちゃおう!


私『先生、検査受けます。今日採血できるならしていきます。』


結果がわかるまで3週間。

両側全摘をどう受け止めるかついては、検査結果がでるまでにゆっくり考えることにする。




夫がいたらなんて言うだろう…

「せっかくだから、いっそ巨乳にしたら?」

とか、言うかもね。

夢でいいから、会いたい