携帯に着信履歴がつまってる

今にも噴出しそうなその携帯は今もなお、メモリに刻み続ける



音声が止まらない



「っうるさい!!!!!!!!」



バコンッと鈍く鋭い効果音

どうやら俺が投げたみたいだ


「ああ・・・あ・・ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね

気持ち悪いほどに、頭の中でひたすらに謝罪し続ける俺を

許して欲しいという願望とどうしようもない吐き気が襲う


(どうしてなんて、聞かないでほしいから)


今更もうどうしようもない事だって分かっている頭が余計に

崖から落ちろ、と責め立てる




(殺したいのか、俺は俺を)





「う・・・あぁっ・・・シ・・っズちゃ・・っん・・・!」


愛してる、なんてなかなか言ってくれない君を

不器用でも愛そうとしてくれている君を


「・・・っぁ・・・ああああああぁぁぁぁっっ!!!!!!!」


俺は裏切った


「っ・・愛し・・・てるっ・・・のに・・・っどうしてっっ・・っぁ・・!」


罪悪感を振り切って君への愛まで押しつぶして

逃げる俺を捕まえて、この手で差し出した


「・・・っ・・・っご・・・っめんっ・・・ねっ・・・」



(俺だって・・・!)


言い訳に過ぎない、そんな御託を頭に並べて

次々と俺を襲う喪失感


「・・・・俺は、・・・何がしたかったんだろうねっ・・・」


分からないし分かりたくもない

自分を守るための自己暗示との騙し合いによる戦争


「ぁぁぁぁぁぁぁ・・・っっ!!」




ああ、


分かってしまった



「おっ・・・れだって・・・シズちゃっ、んをっ・・・」



脳の呼吸が始まり意識が濃くなる




(守りたかったんだ)





その言葉こそが、






「・・・っああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」






自分正当化論