大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和也side


 

ずっと、一生続くと思ってた
智との終わりは。



何の前触れもなく。
ある日、突然。

本当に突然…やってきた。



「………智?」

「……………」

「………智?…ね、智!」

「………んぁ、なに?」

「もう、”なに?”じゃなくてさぁ……」

「ん…ごめん。」

「大丈夫?
なんか、ヤケにボーっとしてるけど。」


「……………ん。」



貴方と出会って
半年が経った、ある日の夜。



突然、家に押しかけて来た智は
どこか虚ろな表情をしていて。

最近、人気がうなぎ登りなせいで
後から後から詰め込まれてくる仕事量に。

きっと…休む暇もなく
疲れてるんだろう、って。

その時は。
なんとなく、そう思っていた。



「仕事…詰め込みすぎなんじゃない?」

「…………………」

「ちょっとさ。
お願いして…休み取らせてもらったら?」




どこか
重苦しい雰囲気とか。

何かに
追い詰められたような表情とか。



いま振り返って。
よくよく考えてみれば。

智からのサインなんて。
たくさん…たくさん散りばめられてたのに。



その時の俺は。

智の本心に
全然、気付いてあげられなかった。



「…っていうかさ。」

「…………………」

「そんなに疲れてるんなら…
無理して今日、来なくていいのに。」


「…………………」

「明日でも。明後日でも。
来れる時に来たらいいじゃない。」




”明日でも。明後日でも。”



智との関係が
ずっと続くと思ってた俺には。

当たり前のように
口から出てきた言葉で。



ぐら…っと大きく揺れた
智の、瞳の意味が。

この時の俺には。
全然、これっぽっちも分かってなかった。



「……ね、智。
ほんとに今日、どうし……っ……」




俺の側にいる時は。

いつだって
キラキラ光ってた蒼色の目が。

その日は…なぜか。
灰色にくすんだ、モノクロのように見えて。



なんかおかしい…って

智の異変に
ようやく気付いた時には。

深くて
激しいキスに。

溺れさせられていた。









「ん、っ…ァ……」



その日の、夜の智は。

まるで俺の全てを
目に焼き付けてるみたいだった。



いつもは、一緒に
愛 し 合 う 行 為 に夢中になって。

何度も 果 てては
再び行為を繰り返して…だったのに。



その日は、なぜか。

行為が終わることを
恐れてるように見えて。



俺ばっかり
何度も、何度も イ かされては。

自分は 果 てそうになる度に
一人ぐ…っと、歯を食い縛って堪えて。

いつまでも
果 てたくないみたいだった。



「…あ、っ……ヤ、ぁ‥……」

「………………和、」

「……ん、…さ、……とっ………」

「和……綺麗……」



いつもなら。

好き…って。
何度も、何度も囁いてくれるのに。



その日は
一度だって。

好き、って。
言葉にしてくれることはなくて。



智の下で 身 悶 える
俺の身体を、手のひらでなぞっては。

好きの代わりに。
綺麗…って。

何度も呟いてた貴方は。
どこか、泣いてるようにも見えた。



「ン、ぁ……さと…し……」

「………和………」

「さと…んぁ、ぁ… ひぅ、ぅ…っあ、ゃ…っ」



もし。

この時。



俺が。
貴方の抱えてる想いに。

ちゃんと…
気付いてあげられていたら。



貴方から与えられる 快 楽 に
呑みこまれることなく。

どうしたの…って。

ちゃんと、貴方に
向き合ってあげられていれば。



もしかしたら。
俺たちの未来も。

もうちょっと…
違ったカタチに、なってたんだろうか。



「ぁ、……さと…っ、もぉ……」

「………ッ……かず…っ………」

「ぁ……っ、ゃあ…だめ…ッ………」

「……っ…………おれ…も………」

「ん……ゃっ、ぁ…っ、ぁ………ぁう…っ―――」



いつまでも。
いつまでも抱き合って。

もう…さすがに
智が限界を迎える頃には。

俺も。
限界を越えていて。



智の熱を。

身体の ナ カ で
受け止める頃には。

俺の意識は
もう混濁し始めていた。



「……ハァ……………ハァ…………ァ………」

「…………………和、」



薄れてく意識の中で。

最後に見えた
貴方の顔は。

なぜか
涙で濡れていて。



頬に触れられた手が
震えてて。

今にも消えてしまいそうな程
儚げだったのに。



ずっと聞きたかった
どうしたの…は。

結局、最後まで。
言葉にすることはできなかった。



「………さ…………と………………」

「………………和、」

「………………ん…………………」

「……………さよなら」



最後の、最後に聞こえた。

さよなら…って。
智の言葉に。



さよなら…って。
どういう意味?…って。

頭の中で
朧気に考えながら手放した意識に。

あんなに
後悔したことは。



多分、きっと。

これから先も。
ずっと一生、貴方にだけ。









目が覚めて
ようやく気が付いた。

空っぽのベッドと
机に置かれた、部屋の合鍵に。



昨夜の二人が
エンドラインだったなんて。



その時の俺は。

全然…
気付くことが、できなかった。