大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和也side



智と初めて
出会ったのは。

凍えるように寒い
今の季節とは正反対の。

蒸し蒸しとした
暑い夏の初め頃だった。



「………ねぇ、」

「………へ、」

「今の…なんて曲?」



いつもと変わらない
平日の夜。

駅の近くの
小さな広場の片隅で。

ギター片手に
一人気持ちよく歌ってた俺に。

そう言って
話しかけてきたのが。

大野さんだった。



「あ…これ
俺が作ったヤツで。」


「え、まじ?」

「趣味で歌作ってるんで…」

「へぇ…」

「完成したら、なんとなくここに来て
自分で弾いて歌ってるんすよ。」


「じゃあ…他にもあんの?」

「あ…まぁ…」

「なら…聴かして?」



夜なのに
キャップを目深に被って…なんて。

そんなことを思ったけど。



普通に話しかけてきた
大野さんが。

まさか…最近売れて話題になってる
あの"Satoshi Ohno"だ、なんて。

これっぽっちも思わなくて。



みるみる内に意気投合して
普通に会うようになってから。

ようやく
正体を知った時は。 

やっぱりちょっとだけ
びっくりした。



「ねぇ…そういうの早く言ってよ///」

「…だって、」

「……だって、なに。」

「言ったら……普通に
話してくんなくなるかもしんねーじゃん。」


「え…なんで?」

「………………なんでって、」

「芸能人でも有名人でも。
大野さんは大野さんでしょ?」


「………………………」

「そんな、なんで変えないといけないわけ?」

「………………………」

「ただ…言ってくれないと
バレたりしたら大変でしょ///」


「………………………ん、」

「ま…今まで気付かなったくらいには
芸能人オーラ0(ゼロ)だけど(笑)」


「…………うるせ(笑)」



テレビでの姿は
よく知らないけど。

でも…ふにゃふにゃ笑う
穏やかな雰囲気が心地よくて。

音楽に対する概念とか。
好みとか、正確とか。

色々と気が合って。



数回ほど食事をした
一ヶ月後には。

俺の家に来て
二人きりで飲む間柄くらいには
なっていた。



会えば話が尽きなくて。

どうでもいいことで
盛り上がって。

ダラダラ、ぐだぐだ喋って。



その日の夜。

飲みながら喋ってる最中
ふ…と目があった瞬間。

どちらからともなく
重ねたキスは。



多分、もう。
きっとずっと前から。

互いに抱いていた
想いだった。



「………好き、だよ。」

「………………」

「ニノのこと…俺……」



重なり合った
唇を離して。

また触れ合いそうな程の
至近距離で。



まっすぐに見つめられた
吸い込まれそうな蒼色の瞳とか。

頬を撫でた
温かい指先の温もりとか。

 

好き、って言葉にしてくれた

たった二文字のその一言に。

 

 

うるさいくらい

心臓が高鳴って。

 

バカみたいにドキドキした。



「……逆、じゃん。」

「……………ん?」

「普通…こういうの、って。
好きって言ってから…キスするもんじゃないの?」


「………………んはは、まじだ(笑)」



素直に
うん、って言わない俺に。



ふにゃ、っと
垂れ目を、更に垂れさせて。

声を出して笑った
貴方の目が。

とてつもなく
優しい目をしてて。



とくん、って
甘く高鳴った胸の音も。

好き、で身体中が埋もれそうになった
あの時の息苦しさも、緊張感も。



多分、きっと。

いつまでも、いつまでも忘れない
貴方との思い出。



「じゃ…もっかいやり直す?」

「………まぁ、いいんじゃない?」

「…………………」

 

「……………///」

「ニノ………」

「……………な、なに///」

「…………好き。」

「…………///」

「………返事は?(笑)」

「……………お、俺、も///」

「……………」

「………好き………か、も///」

「………”かも”、がつくんや(笑)」

「も…うるさい///」



恥ずかしくて。
恥ずかしくて。



まっすぐに目を見れなくなって
伏せた睫毛に。

大野さんが
楽しそうに笑って。



大野さんから仕掛けられた
二回目のキスと。

そのまま、ラグの上で愛し合った
初めての一夜が。



貴方が
俺にとって。

トクベツになった瞬間だった。









「……ん、…………」

「…ん、ぁっ、や、ぁっ……」

「………ハァ……和、」

「……ぁ、んっ……」

「和………好き、」

「んぁ…っ…さ、と……」

「好き…だよ、」



初めて重ねた
智の身体は。

俺と違って
鍛え抜かれてて。

光る汗が綺麗で。
色っぽくて。



好き、って。

耳元で何度も囁いてくれる
愛の言葉に。

きっと
俺の運命の人はこの人なんだ…って。

幸せの涙をぽとりと零しながら
そう、思って。



智の背中に
しがみつきながら。

俺も…好き…って。

辛うじて口にした
小さな、小さな告白の返事に。

幸せそうに笑って
優しいキスをくれた貴方と。



きっと。

この先一生
俺はずっと一緒にいるんだ…って。

そんな風に思ってて。

 

 

 

まさか。

あんな終わりが待ってるなんて。

 

あの頃の俺は。

全然、考えもしなかった。