大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和也side



朝風呂から上がり、りんごジュースも飲んで
身も心もスッキリさせてから。

旅館がレンタルしている浴衣を借りて
温泉街へ二人で繰り出す。





「桜祭りとかさ、やってねーかな。」

「ちょうど見頃だし、やってそうだけどね。」

「とりあえず、そこら辺歩いてみっか。」





すぐ隣りで、ピッタリ寄り添って
肩を並べて隣りを歩く智は。

薄い紺色に黄色の帯をした爽やかめの俺よりも
更に濃いめの藍色の浴衣を、白い帯で締め
引き締まった感じが、この上なく似合っていて。



袖から伸びる、長い腕とか。
足を前に出す度にチラリと見える足元とか。

至る所から、大人の色気が溢れている。





「な、あっちの方…なんか賑やかじゃね?」

「うわ…すご。桜並木があるじゃん。」

「せっかくだから、ちょっと行ってみよ。」





カランコロン、と下駄を鳴らして
咲き乱れる桜並木の下を
ゆっくりと、見上げながら歩いていれば。

時折、ヒソヒソ聞こえてくるのは
女の子二人組の、黄色い悲鳴。





「ねぇ、見てよ///
あの藍色の浴衣の人///」

「やばっ///
イケメンが浴衣とか、まじ無理///」

「ちょっとなに、あの腕///
うわ、これまでの腕の中でダントツ一位///」






「……………」

「和、どうした?」

「………んん、別に。」

「ねね、お兄さん///」





智がかっこいいのがムカつく。
なんて言えるはずもなく。

ぷい…っと、そっぽを向いていたら。



黄色い悲鳴を上げていた女の子達が
上目遣いで、猫なで声を出しながら近づいてくる。





「お兄さん、浴衣ちょーかっこいいですね!///」

「…………へ?俺?」

「もしかして、モデルとかやってるんですかー?///」

「…は?いや、別に。」

「えー違うのー!もったいなーい!
こんなにかっこいいのにー!」

「ねね、ちょっとだけ!
せっかくだから、一緒に遊びません?///」


「……ぇ、いや…」





突然の事態でたじろぐ智に
女の子達が、一気に距離を詰めて。

流れを作ろうとしているのか
一人の女の子なんて、腕を絡め始めた。





……やだ。

その場所、俺のなのに。





「すっごくいいとこ、知ってるんですけど!
一緒に行きましょうよー!///」

「そうそう!ねね!早く行きましょ!///」


「ちょ…「あ、すみません。」





ヒールの高い靴を履いた足を
女の子らしく、ピョンピョン跳ねさせて。

柔らかい身体を、智の腕に押し付けて

強引に、腕を引っ張り始めたその子達に

引き留めようとして、声をかけようとしたら。

 

 

 

カラン…と、下駄の音が聞こえて。

女の子達を簡単に振り払った腕が

目の前に伸びてきた。

 

 




「恋人いるんで、すみません。」





伸びてきた手が、俺の手を包んで

ぎゅ…っと指を絡めたら。

和、行こ…って。
その場に固まった女の子を放って
そのまま、俺の腕を引っ張って歩き出す。





「なんか…最近の女の子って
がっついてて怖ぇな(笑)」


「………………そ、だね。」

「和も、変なヤツに絡まれないように

ちゃんとくっついてて。」

「……………智。」

「ん?なに?」

「好き。」

「ふっ(笑)知ってる(笑)」





絡まり合っている指を
ぎゅ…ぎゅ…っと、何度か強く握ったら。

歩幅を合わせて、隣りで並んで歩く智が

ふ…っと、柔らかく笑う。





「なに?甘えたいの?」

「……………だめ?」

「俺がダメって言うと思ってて、聞いてんの?」

「んん、思ってない。」

「じゃあ聞くな(笑)」





ゴツン、と肩をぶつけられて
ふ…っと、智の方を向いたら。

ぱち…っと二人、目が合って。



誰も気付かれない位の早さで
一瞬だけ、軽く唇を重ね合わせて。

二人で、ふ…っと笑い合った。