大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
サトシside
 
 
 
目の前にある光景の…何もかも。
信じたくなかった。
 
 
 
「……和……和……」
 
 
 
止まらない血を…いつまでも流し続け
苦しそうに息を吐く…和の姿も。
 
いつもは…温かいはずの、和の身体が
俺の腕の中で…冷たくなっていくのも。
 
全部、嘘だと…思いたかった。
 
 
 
 
 
逆上して、襲いかかってきたニンゲンを
これ以上ないくらい、思いきり殴り倒し。
 
痛みで呻く和を、抱きかかえて。
急いで…館へ戻ってきて。
 
なんとか…刺された腹を止血しようと。
必死で色々と試みたけど…。
 
俺達と違って、か弱いニンゲンの身体には
致命傷となる傷だった。
 
 
 
 
 

部屋中に充満する…和の、血の匂いに。

 

満月の…月明かりに照らされて

ますます白くなっていく…和の身体に。

 

不安に胸が…押し潰されて。
 
初めて…ニンゲンの”死”が。
恐ろしくなった。
 
 
 
「……ハァ……ハァ……」
 
「……和……和っ……」
 
 
 
これまで見てきた…
動かなくなったニンゲンの姿を思い出し。
 
初めて…恐ろしさで身体が震えた。
 
 
 
……いやだ。
 
もっと…和の側にいたい。
もっと…ずっと、和の笑顔を見ていたい。
 
 
 
和がいない日々なんて…もう。
考えられない。
 
 
 
「……和……和っ……」
 
「……ハァ……ハァ……」
 
「…ダメだ…っ…絶対……」
 
「……ハァ……サ…トシ……」
 
 
 
必死に…1つ1つ、息をしながら。
唇を動かして…何かを伝えようとする和に。
耳を…懸命に近づける。
 
 
 
「……の…………‥て……‥」
 
「……何……聞こえね……」
 
「……俺の……血…‥飲んで……」
 
 
 
掠れた声で…和が願ったのは。
俺には…あまりにも残酷なことだった。
 
 
 
「……何…言って……」
 
「…ハァ…そしたら…サトシ…と…
また…いっしょ…に……」
 
「…ざけんな……ふざけんなよっ!」
 
「……ハァ……ハァ……」
 
「……まだ……側に…いろよ……。」
 
「……ハァ……サ…トシ………」
 
「……俺…俺には…できね……。」
 
 
 
和の”死”を見るのが…恐ろしくて。
離れるのが…怖くて。
 
初めて…涙を流す俺の頬を。
 
そ…っと、和の丸っこくて小さな右手が。
少し震えながら…ゆっくり包み込んだ。
 
 
 
「…そしたら…ずっと…
一緒に…いられるん…でしょ…?」
 
「……っ……」
 
「……次……逢えたら……絶対に……

今度…こそ…ずっと…一緒に…いよ…?」

 
「…………和っ………」
 
「…絶対…また…
貴方の…ために…生まれてくる…から…‥」
 
「………………」
 
「…だから……おねが……」
 
 
 
だんだん…力が無くなっていく声に。
 
もう…時があまり残されていない現実を
突き付けられる。
 
 
 
「……和っ……」
 
 
 

”なんで、こんなに。

たった一人のために、泣くんだろう。”

 

”なんで、ニンゲンは。

こんなに誰かのことを、大事にすんだろう。”

 

 

 

初めて…和と出会ったあの時。

そう考えていた自分を…思い出して。

 
今…その答えに、辿り着いた。
 
 
 

「……生まれ変わっても……絶対。

お前のこと……探し出すから。」

 

 

 

和と出会って動き始めた…

俺の”ココロ”が。

 

和に…全部、伝わるように。

 

 

 

朦朧とする和を…

必死に強く、腕に抱いて。

 

和に聞こえるように…懸命に語りかけた。

 

 

 

「……和。

……いつまでも……愛してる。」

 
 
 
ポタ…っと流れた、和の涙を
できるだけ優しく…指で拭って。
 
震える口を…和の首元に近付け。
2本の牙を…その白い首筋に、突き立てる。
 
 
 
ゴク…ゴク…と、喉を動かす度。
どんどん弱っていく…和の身体とは裏腹に。
 
和の温かな命が…
俺の中に、流れ込んでいくのを感じながら。
 
永遠の誓いを…和に立てた。
 
 
 
 
 
再び和と…巡り合えるように。
100年でも…1万年でも。
 
ひたすらずっと…
和への愛を、叫び続けるから。
 
 
 
だから…和。
 
来世で再び…
出会うことができたら。
 
今度こそ…永遠に、2人で共にいよう。
 
 
 
 
 
温もりが消え…冷たくなった和の身体を
ただ抱きしめて。
 
初めて…夜が明けるまで。
 
1人ずっと…涙を流し続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

☆明日から、現在へ戻ります☆