大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
和side
 
 
 
「―――ん。」
 
 
 
ふ…と目が覚めると
見覚えのないソファの上だった。
 
窓から見える、白み始めた空を見ながら。
ぼんやりと記憶を辿っていく内に
昨夜の出来事を…思い出して。
 
周囲を見回したけど…
あの青い瞳の人は、見つからなかった。
 
 
 
屋敷を出て、元来た道を辿っていくと。
オロオロと狼狽えている友人達がいて。
 
無事な姿の俺を見た瞬間
わぁー!と、一気に泣きつかれた。
 
 
 
「うわぁー!ニノぉー!」
 
「わっ!ちょっと!」
 
「よかったぁー!ニノ生きてたぁー!」
 
「まじごめんっ!ニノを探そうと思っても
怖すぎて…どうしても戻れなくてさ…」
 
「ニノが無事で…よかったぁ…」
 
「俺も…心配かけてごめん。」
 
「なんで…戻ってくんの遅かったんだよ?」
 
「もしかして…なんかあった?」
 
「ん…いや…別に…なにもなかったよ。
ちょっと…俺…びっくりしすぎて
気失ってたみたい(笑)」
 
 
 
あの人のことは…胸に秘めたまま。
帰るまでの道中、矢継ぎ早に飛んでくる質問に
適当に話を誤魔化しながら答えた
 
 
 
 
帰宅した、一人暮らしの自分の部屋。
 
クタクタに疲れた身体でベッドにダイブして
まどろみながら、思い出したのは
あの…青い瞳だった。
 
 
 
あの人は一体、誰だったんだろう。
あの人が噂の…化け物なのかな。
 
でも…あの青い瞳からは
そんな恐ろしいものは…感じられなくて。
 
”ずっと……逢いたかった……”
 
そう言った声は、むしろ。
震える程の愛と…優しさで溢れていた。
 
 
 
あの屋敷で、頭の中を駆け巡った
記憶の断片のような…感覚の数々。
 
”貴方に…逢いたい”
 
突然、沸き起こったあの強い感情は
何だったんだろう。
 
 
 
”……もしかして……覚えてんのか……?”
 
そう言った…あの人は。
一体、何を知っているんだろう。
そして俺は…何を忘れているんだろう。
 
もしかして…俺がよく見るあの夢と
何か関係があったりするの?
 
 

たくさんの疑問を、頭に浮かべたまま
すぐにやってきた眠りに…身を任せた。
 
 
 
 
 
* * * * * * * * * * * * * * * *
 
 
 
 
 
その日の夜も。
 
気になることが、ありすぎて。
そして…それら全ての答えが知りたくて。
その日の夜もまた、あの屋敷へ1人足を運んだ。
 
 
 
「…お。来たか。」
 
 
 
館へ入り、昨夜の部屋へ入ると。
 
また、昨夜と同じように。
どこから入ったのかと思う程
その人は突然……現れた。
 
 
 
「……まるで、待ってたみたいな口調だけど。」
 
「ん…お前が来るって、感じたから。」
 
「……っていうか、あなた一体
どうやってここに?」
 
「どうって…普通に。」
 
「……いや、普通にって。突然そこにいたし。」
 
「あ、そういや…
ニンゲンには、早くて見えねぇんだったな。」
 
 
 
……いやいや。
大したことないみたいに…言ってるけど。
 
”ニンゲン”……って。
 
 
 
「……やっぱり。あなた…なの?」
 
「……ん?」
 
「”ここに住んでる化け物”…って。」
 
「…………サトシ。」
 
「…………え?」
 
「……俺の名前。
”あなた”でも…”化け物”でもなくて。
………サトシ。」
 
「……サトシ、は。」
 
「……ん。」
 
「…その…ニンゲンじゃ…ないの?」
 
「…………」
 
「……そういえば…昨日も……
食ったとか…なんとか……」
 
「……だとしたら?」
 
「………」
 
「…怖い?俺のこと。」
 
 
 
そう…尋ねてくるサトシからは。
 
やっぱり、昨夜と同じように
恐怖を感じるようなものは…何もなくて。

 
 
「…普通なら、怖いんだろうけど。
なんでだろ…俺、落ち着くみたい。」
 
「…落ち着く?」
 
「…声…なのかな。
サトシがいると…逆に、心が落ち着く。」
 
 
 
むしろ…怖いというよりも
その、深い海のような青色の瞳の美しさと
少し柔らかさを含んだ声に。
 
どこか…安心感すら、抱いていた。
 
 
 
「……そう……か。」
 
 
 
いつかの懐かしい記憶を…思い出すように
優しい顔で呟く…サトシに。
 
なぜか…グラッと。
切なく心が、揺さぶられた。