仏壇の位牌はいつ作る?四十九日までの白木位牌と本位牌の違い

大切な方を亡くされた際、多くのご家族が位牌(いはい)について疑問を抱かれます。白木の位牌はいつまで使うのか、本位牌はどのように選べばよいのか、宗派によって違いはあるのか。
位牌は故人の魂が宿る大切なものだからこそ、正しい知識を持って向き合いたいものです。
今回は位牌の種類や選び方、仏壇での祀り方について詳しくお伝えします。

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目次

白木の位牌から本位牌への移り変わり

・通夜・葬儀で使用する白木位牌の役割

通夜や葬儀の際に作られる白木の位牌は、あくまで一時的なものです。
この白木位牌は四十九日忌(しじゅうくにちき)まで使用し、その後はお寺に納めて供養していただきます。

白木という素材が選ばれるのには深い意味があります。
白は清浄を表し、故人の魂が迷うことなく極楽浄土へ向かえるよう願いが込められています。
この期間中、ご家族は故人の冥福(めいふく)を祈り、来世での幸せを願って供養を続けます。

・四十九日後の本位牌への切り替え

四十九日の法要を境に、白木位牌から本位牌へと切り替えます。
本位牌は黒塗りや金箔(きんぱく)を施したもので、長期間仏壇に祀るために作られます。

本位牌には故人の戒名(かいみょう)や法名(ほうみょう)、俗名(ぞくみょう)、没年月日などが刻まれます。
この位牌は故人の象徴として、ご家族の心のよりどころとなる大切な存在です。
位牌を仏壇に安置することで、日々の供養や対話を通じて故人との絆を保ち続けることができます。


位牌の種類とそれぞれの特徴

・札板位牌の基本と選び方

札板位牌(ふだいたいはい)は、故人お一人につき一つずつ作る最も一般的な位牌です。
黒塗りのものから金箔を施した豪華なものまで、様々な種類があります。

形状も多種多様で、蓮華(れんげ)の模様が彫られたものや、雲の文様があしらわれたものなど、宗派による大きな違いはありません。
大切なのは、ご家族の心に響く位牌を選ぶことです。
サイズは仏壇の大きさに合わせて選び、他の仏具とのバランスを考慮することが重要です。

・繰り出し位牌の実用性と活用場面

繰り出し位牌(くりだしいはい)は、先祖代々の位牌をまとめて収納できる画期的なタイプです。
仏壇が小さく、札板位牌では場所が足りなくなった際に重宝します。

屋根や扉がついた箱状の構造になっており、この中に戒名や法名を記した薄い板を入れて使用します。
一番手前の位牌は外から見えるようになっており、命日には該当する故人の板を前面に出して供養します。
都市部の住宅事情に配慮した、現代的な位牌といえるでしょう。


過去帳の役割と位牌との関係

・過去帳の基本的な使い方

過去帳(かこちょう)は、亡くなった方の戒名・法名や没年月日、年齢などを記録する帳簿です。
位牌と併用する場合もあれば、位牌の代わりとして使用する宗派もあります。

過去帳には2つの形式があります。
死亡順に記していく年表式と、年月に関係なく31日分に配分してある日めくり式です。
故人の命日には該当するページを開いて供養を行います。
これにより、多くの先祖を一冊で管理でき、長期間の記録保持が可能になります。

・浄土真宗における過去帳の特別な意味

浄土真宗では位牌を作らず、過去帳のみを使用します。
これは宗派の教えに深く関わっています。
浄土真宗の教えでは、死後に浄土に往生した者はすべて阿弥陀仏(あみだぶつ)と同体になると考えられています。

阿弥陀仏と一体となった故人は、再びこの世に還り、生きている人々を救おうとしているとされます。
このため、阿弥陀仏とは別に信仰の対象を作る必要がないとして、位牌を作りません。
過去帳はあくまで記録のためであり、信仰の対象ではないという明確な区別があります。


仏壇の正しい祀り方と仏具の配置

・仏壇の基本構造と各部の役割

仏壇は極楽浄土を模して作られており、それぞれの部位に深い意味があります。
上段(じょうだん)には本尊を安置し、中段や下段には位牌や仏具を配置します。

須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる仏壇上部には、香炉(こうろ)、花立て、燭台(しょくだい)などの基本的な仏具を置きます。
これらは三具足(みつぐそく)または五具足(ごぐそく)と呼ばれ、日々の供養に欠かせません。
灯籠(とうろう)は仏壇内部を明るく照らし、荘厳(しょうごん)な雰囲気を演出します。

・戸帳や打敷による装飾の意味

仏壇を戸帳(とちょう)や瓔珞(ようらく)、打敷(うちしき)などで飾るのは、仏壇を極楽浄土の世界に見立てているためです。
阿弥陀経に記されている極楽浄土は、金銀や瑠璃(るり)、水晶などの宝玉で飾られた美しい世界とされています。

打敷は前机(まえづくえ)の前面を飾る布で、法要の際に使用します。
金襴(きんらん)などの高級な布で作られ、仏壇全体の格調を高めます。
これらの装飾は単なる飾りではなく、仏の世界の荘厳さを表現する重要な要素なのです。


日々の供養作法と心構え

・毎日の供養における基本的な流れ

日々の供養は、家族の朝食前に行うのが基本です。
まず仏壇の扉を開け、枯れた花や落ちた葉がないか確認します。
本尊や位牌が正しい位置にあるかも確認しましょう。

お供えの順序は重要です。
まずろうそくに火を灯し、その火で線香をあげます。
仏飯(ぶっぱん)、お茶または水、そして季節の果物や菓子をお供えします。
合掌礼拝し、称名(しょうみょう)や題目を唱え、お経をあげます。
お勤めが終わったら、ろうそく消しを使って丁寧に火を消します。

・鈴や霊供膳の正しい使い方

鈴(りん)はお経を読む前に鳴らします。
宗派によって打つ回数が決まっているため、それに従うことが大切です。
礼拝のたびに鳴らすものではなく、新仏(しんぼとけ)が出た際も百か日忌以降でなければ鳴らしてはいけません。

霊供膳(りょうぐぜん)は命日、法要、お盆、お彼岸の際に使用するミニチュアのお膳です。
仏前に箸が向くように供えますが、浄土真宗では使用しません。
これらの作法は宗派の深い教えに基づいており、形式を通じて仏の世界に心を向ける大切な行いです。

位牌と仏壇の正しい祀り方を理解することは、故人への供養を意義あるものにするだけでなく、私たち自身の心の平安にもつながります。
形式だけに囚われるのではなく、その背景にある宗派の教えや込められた願いを理解することが重要です。

毎日の供養を通じて、故人との絆を深め、自分自身の心も清らかに保つことができます。
位牌や過去帳は単なる記録ではなく、故人の生きた証であり、私たちの心のよりどころなのです。

宗派による違いを正しく理解し、ご自身の家の伝統を大切にしながら、心を込めた供養を続けていただければと思います。
故人の安らかな成仏を願い、同時に私たち自身の人生をより豊かなものにしていく。それが仏壇での日々の供養の真の意味なのです。