8歳の娘が最近、私とのチューを嫌がるようになってきた。これは一大事だ。なぜなら、娘とのチューによって、心身が癒され、最高の幸せを得ることが出来るからだ。
これまでは、いつなんどきもチユーをせがむとしてくれたし、なんなら向こうからしてくれていた。しかし、今では向こうからは皆無で、こっちからせがんでも拒否される。思春期かと思ってしまう。
娘とのチユーのない生活など考えられず、チユーがないのなら生活をする意味さえないように、大袈裟に言えば思える。しかし、なぜ急にしなくなったのか?なぞを解明したくなってきた。学校での友達との会話に「お父さんとチユーなんか普通せえへんで」やテレビなどのキスシーンを見て恥ずかしくなったのか?さぁー答えは何だろう。楽しくなってきた。
いつものように仕事を終え、テレビを見ていた娘の横に座り、「髪の毛切ったん」などと話ながら、ほっぺにチューをすると、横を向きあからさまに嫌がる。やっぱりダメか。もう朝の「いってきます」と晩の「おやすみ」しか出来ないのか?そんなん絶対嫌だ。
嫌がり横を向いている娘に「なんでアカンの。もうお父さんとはしやんって決めたん」と問うも、返事は返ってこない。そこで、もう一度聞くと、「そういうわけじゃないけど」だけ返ってきた。嫌じゃないのに、なんでアカンねや。疑問は深まる。
隣で聞いていた奥さんが、「パパは女心が全然分かってないわ。今テレビに集中してたやろ。それを横からいきなり邪魔されたら、嫌になるねん。別にパパを嫌がってるんじゃないと思うで。あと、しつこく何でアカンのとか聞かれるのも嫌やねん。そんな気分じゃない時ってあんねん」とのこと。娘もそれに賛同しているようだ。じゃあどうすればいいのか?家族会議が始まる。
結論から言うと、「①チューをするときは予め、してもいいか確認すること、②口の回りを拭いて、唾液がついていない状態ですること」となった。あまり納得いかないが、この際仕方がない。なぜこうなったかと言うと、①は娘が集中していたり、気分ののらない時はやめた方が無難であるから。問題は②で、「そんなに唾液ついてる?」って思ってしまうが、娘と妻いわく、かなりついているらしい。特に寝る前などは、睡眠薬を飲んでいるので、唾液がダァ~と放出状態のようだ。
さらにショックだったのが、チューをするとき「酸っぱい匂い」がするそうだ。娘は鼻がとてもよく、何らかの嫌な匂いがすると言う。これが世に聞く「パパ臭か」と初めて思った。耳の後ろから匂うと聞いたことがあるので、耳の後ろを嗅いでもらうが、大丈夫なようだ。では、どこから放出されるのか?娘いわく、鼻と口の間に両手を重ね、まるでナウシカのオームの足のように、両手をひらひらと動かしている。どうやらそこから酸性の匂いが放出されているようだ。
そこから話は発展し、私の匂う所を探すことになった。すぐに「臭い」と言われたのが、頭皮である。私の頭頂部は何とか前髪を持ってきて、やっと隠れる、否微妙に隠れていないが、そのレベルなので、日中働いて日光にでもあたったら臭くなるのは分かる。でも、仕方ないやん。そこは許してよと思い、お風呂で念入りにシャンプー&リンスをしてもう一度匂ってもらうと、まだ微妙らしく「抗生物質」の匂いがすると切られた。「薬のんでんもん。その影響も多少あるでしょうに」と思ったが、「また薬のせいにする」と言い返されるのは分かっていたので黙っていた。
頭皮の臭さが面白かったのか、娘は色々と想像し、頭皮の匂いから全身を覆う作り話を考え、ステップ台の上に腰かけ、ロダンのポーズをとりながら、「私は考える。お父さんの頭皮の臭さがもさもさと全身に降りてきて、空気にあたると薄まっていき…」などのことを、ロダンのポーズでずっとしゃべっている。イラついたので「毛のあるところは、だいたい臭いねん」と言うと、風呂に入るために脱いでいた、私の上半身の乳首にむかって、「じゃぁ、これも臭いん」とか言ってきた。確かに乳首に毛は少し、ほんの少し生えているが、そこまで突っ込まれるほどは生えてないと思うけど、娘は大笑いしている。
話は戻り②の唾液の件は、チューをする前には、口を拭くことで一致しました。今までは、可愛い何でも言うことを聞いてくれる娘でしたが、ちゃんと自我が成長し、自分の考えや発言、行動が出来るようになってきた。私の家では、「自立」を目標とした教育方針なので、喜ばしいことではあるが、少しさみしい気もする。チューひとつとっても、娘の成長とともに親の接し方も変えていかなければならないなぁ~と思った。でも、欧米風みたいにハグは大人なっても、ずっとしときたいな。子離れ、親離れはしていても、心は通じあえる。そんな家族でいたい。3人ワンチームが家の家訓なので、スクラムを組むみたいに、3人でずっとハグができたらいいな。なんせ、私は口下手なので、ハグでもしないと、良好なコミュニケーションがとれないのではとの懸念もある。なので、娘にとって、ずっとカッコいいお父さんでいたい。
いつかは親離れするんやな。悲しい。でも、娘のことを想うと、こちらからそうできるように誘導しなアカンな。今のチューがしたいために必死になっている自分が、そんなこと出来るのか不安はあるけど、いつか決心してやっていかないといけないことと思う。子育ての正解は何年もしてからしか分からないと思うけど、今出来る愛情を全て子どもに注ぎ込み、自分で自分の道を進んでいける大人になって欲しい。それが無理でも、健康でいて欲しい。それも無理でも、生きていて欲しい。今ある生活が幸せに満ち溢れているから、1日1日を大事にして生きていきたい。昨日、寝る前にパッヘルベルの「カノン」を聞いて、つくづく今ある幸せに感謝したいと思った。こんなたあいもない話で笑える普通の日々を…。