まだ残雪が多く残る尾瀬から檜枝岐に戻り、何箇所か観光名所を回ってみる。
まずは岩魚を放流している管理釣り場。
宿の夕飯にも登場した、檜枝岐の名産のひとつである岩魚。
自然の河川で釣ろうとすればそれなりの経験と道具が必要となるが、ここでは手軽に楽しむことができる。
貸し竿はもちろん準備されているが、毛鉤やルアーなど自前のタックルの持ち込みもOK。
釣った岩魚は炭火で塩焼きにしてくれる。
ただし、釣り上げた魚は全て買取になるので釣り過ぎには注意。
思わぬ出費となる。
さて続いては江戸時代から伝統として村民の間に受け継がれている檜枝岐歌舞伎の舞台。
ちょうど前日の5月12日に奉納歌舞伎が執り行われていたらしく、村内には多くの幟旗がはためいていた。
写真は友人が偶然その奉納歌舞伎を観たらしく送ってくれたものだが、「とても村民による素人歌舞伎とは言えないほど達者でした」とのこと。
今でこそテレビやインターネットが普及し、それこそ海外の映像も簡単に観ることが出来る時代だが、ちょっと前までは村人の唯一の楽しみにだったに違いない。
江戸に上った人が見聞きした歌舞伎を持ち帰り、自分たちで台本を書き、舞台を作り、衣装を揃え…
300年以上受け継がれてきた歌舞伎は、立派な文化遺産である。
奥会津にはこうした歌舞伎の文化が各地にあり、いまでも細々と受け継がれているものもあるが、檜枝岐歌舞伎ほど色濃く残ってはいない。
せいぜい舞台装置が動くこともなく置かれているくらいである。
檜枝岐村では中学生が授業の一環としてこの歌舞伎を演じており、脈々と受け継がれてきたのである。
しかし、高齢化と過疎化が進む現在、いつまでこの文化が続いていくのか…
そして檜枝岐歌舞伎の舞台に向かう路地に佇むのは『橋場のばんば』である。
このばんば様の両隣には、大きなハサミが置かれている。
ひとつは新しく切れ味鋭そうなハサミ、もうひとつは錆びて切ることは難しそうなハサミ…
ばんば様は縁切りと縁結びの両方を助けてくれる。
悪縁を切りたい人はお参りする際に良く切れる新品のハサミを、良縁を切りたくない人は刃毀れしたボロボロのハサミをさらに針金でぐるぐる巻きにして、それぞれ持ってくる。
またお椀をばんば様の頭の上に載せると願いが叶うという。
人間関係に悩みを持つ人は、縋ってみてはいかが⁈
尾瀬はこれからベストシーズンを迎える。
ミズバショウに始まり、ニッコウキスゲやワタスゲなどの高山植物が次々と見頃を迎える。
御池から沼山峠まではバスで入ることもできるので、そこから1時間も歩けば尾瀬沼に行くことができる。
木道を歩き、短い季節を咲き誇る花たちを愛で、高原の風に癒され、疲れた身体を檜枝岐の温泉でほぐす…
今年の夏はそんな過ごし方はどうだろう。
是非、魅力溢れる奥会津・檜枝岐村へ!