今回の一推し絵師は青木年男作『鍾馗鬼共之図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


皆様、おはようございます。サントリー美術館にて6月27日迄開催中の驚愕の大展覧会「サントリー美術館 開館60周年記念展 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展を観て参りました。その感想です。


アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立されたミネアポリス美術館(Minneapolis Institute of Art 通称Mia〈ミア〉)は、1883年にミネアポリスの市民や実業家が美術協会を設立したことに始まります。現在では、世界各地の約9万点を超える美術作品を所蔵しており、そのうち、日本絵画のコレクションは、約2500点の浮世絵をはじめ、質・量ともに国際的にも高い評価を得ています。近年でも在米の美術愛好家から多くの日本絵画・工芸が寄贈されるなど、今なお進化し続けるコレクションです。
本展は、Miaの日本美術コレクションの中から、中世から近代にいたる日本絵画の変遷を選りすぐりの優品でご紹介します。水墨画・狩野派・やまと絵・琳派・浮世絵・文人画(南画)・奇想派・近代絵画というように、江戸絵画を中心に日本絵画史の主要ジャンルをほぼ網羅するラインナップで、初の里帰り作品を含む貴重な機会です。展示室を訪れれば、きっとイチオシの絵師〈推し絵師〉に出会えるでしょう。時空を超えて一堂に集った人気絵師たちの華やかな競演をぜひご覧ください。

 

 

伊藤若冲作『旭日老松図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

伊藤若冲作『鶏図押絵貼屛風』(左隻)(ミネアポリス美術館蔵)

 

伊藤若冲作『鶏図押絵貼屛風』((右隻)ミネアポリス美術館蔵)

 

 

伊藤若冲作『叭々鳥図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

横山崋山作『蘭亭曲水図屛風』(ミネアポリス美術館蔵)

 

河鍋暁斎作『お多福図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

佐竹永海作『風神雷神図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

山田道安作『龍虎図屏風』(ミネアポリス美術館蔵)

 

山田道安作『龍虎図屏風』(左隻)(ミネアポリス美術館蔵)

 

山田道安作『龍虎図屏風』(右隻)(ミネアポリス美術館蔵)

 

柴田是真作『漆絵画帖』(ミネアポリス美術館蔵)

 

狩野山雪作『群仙図襖(旧・天祥院』(ミネアポリス美術館蔵)

 

狩野芳崖作『巨鷲図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

 

清原雪信作『騎獅文殊図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

清原雪信作『飛天図(ミネアポリス美術館蔵)

 

雪村周継作『花鳥図屏風』(ミネアポリス美術館蔵)

 

曽我蕭白作『群鶴図屛風』(ミネアポリス美術館蔵)

 

池田孤邨作『三十六歌仙図屏風』(ミネアポリス美術館蔵)

 

中村芳中作『大原女』(ミネアポリス美術館蔵)

 

渡辺省亭作『紫式部図』(ミネアポリス美術館蔵)

 

鈴木春信作『台子の夜雨 坐』(ミネアポリス美術館蔵)

 

鈴木松年作『春山帰樵図』(ミネアポリス美術館蔵)

 


初日に駆けつけたものの、諸般の事情によりアップが大幅に遅れました。謹んでお詫び申し上げます。この展覧会、室町から明治時代までの日本美術を通観出来ると言うのは誇張でも何でもなくて、日本にあれば重要文化財クラスの優品を含んだ非常に優れた「一括貸し」の展示であります。欧米の名の通った「○○美術館展」の場合、8割方は収蔵庫に入っている二級品クラスのものが多かったのですが、今回の貸出はミネアポリス美術館の日本美術の中でも「優品・佳作」クラスのものばかりでして、東京国立博物館の常設展示と比較してみても遜色のない第一級の展示となっているのがお見事であります。

今回の展示で驚かされた点が幾つかありまして、先ず無いと思っていた全作品写真撮影可能だと言う点が一点。これは御本家のミネアポリス美術館の常設展示が誰でも入場無料で入れる上に、常設展示作品に関しては写真撮影可能と言う御本家のルールを適用して下さったのと、もう一つは清原雪信、池玉蘭、池田蕉園と言う三人の女性画家の作品が入っている点であります。そして図録を読んで驚いたのが日本美術の大コレクターの一人であったメアリー・グリップス・バーグコレクションがニューヨークのメトロポリタン美術館とミネアポリス美術館に分けて寄贈されたと言う点でありまして、今回の展示でも『西行物語図屏風』、『武蔵野図屏風』、狩野探幽の『笛吹地蔵図』や池田孤邨作の『三十六歌仙図屏風』は旧バーグ・コレクションのものです。

そして三つ目に驚いたのが柴田是真、河鍋暁斎、渡辺省亭、そして今回の展示が初めての里帰り展示となる明治時代にアメリカに渡って活躍した絵師青木年男の『鍾馗鬼共之図』があることでして、これからの再評価と数年後には東京ステーションギャラリーあたりで「青木年男展」が開催されるのではないかと睨んでおります。


今回最もお気に入りの絵は山田道安作の『龍虎図屏風』と脱力系琳派の巨人である中村芳中先生の『大原女』そして青木年男作『鍾馗鬼共之図』、また上村松園の最初の師であった鈴木松年作『春山帰樵図』がこんなに綺麗な絵とは思わなかったと驚きの連続であります。




https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2021_1/index.html