何だかんだと言って巧いなぁと唸った一枚エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン作『クリュソル・フロランサック男爵夫人、アンヌ=マリ・ジョゼフィーヌ・ガブリエル・ベルナール・ド・ブーランヴィリエ 』(オーギュスタン美術館蔵)
 
 
 
 
皆様、お今晩は。八王子のはずれにある東京富士美術館にて来年の1月19日迄開催中の大展覧会「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容」展に行って参りました。その感想です。
 
 
本展では、ヴェルサイユ宮殿美術館やオルセー美術館、大英博物館、スコットランド・ナショナル・ギャラリーなど、フランス、イギリスを代表する20館以上の美術館の協力のもと、フランス絵画の最も偉大で華やかな3世紀、すなわち17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、印象派誕生前夜にいたるまでの壮大なフランス絵画の流れをたどり、ヨーロッパ絵画の規範の確立と絵画芸術の自律的な革新をもたらした不断の芸術思潮とその源流を回顧します。
また、東京富士美術館では、開館以来、フランス絵画の収集に力を注ぎ、17世紀から19世紀の重要なコレクションを形成してきました。本展ではそれらの代表作も出品します。
 
 
 
 
日本では今一つ人気の出ないプッサン先生の自画像ニコラ・プッサン作『55歳の自画像』(ベルリン絵画館蔵)
 
 
日本初公開のニコラ・プッサン作『コリオラヌスに哀訴する妻と母』(ニコラ・プッサン美術館蔵)
 
 
フィリップ・ド・シャンパーニュ作『キリストとサマリアの女』(カーン美術館蔵)
 
 
 
イケメンなのでビックリしたイアサント・リゴー作『自画像』(ベルサイユ宮宮殿美術館蔵)
 
 
ジョルジュ・ラ・トゥール作『煙草を吸う男』(東京富士美術館蔵)
 
 
 
マチュー・ル・ナン作『いかさま師』(リール美術館蔵)
 
 
 
ジャン・アントワーヌ・ヴァトー作『ヴェネツィアの宴』(スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵)
 
 
 
フランソワ・ブーシェ作『ウェヌスとウルカヌス』(ベルサイユ宮宮殿美術館蔵)
 
 
意外に硬派な絵も描いていたんですねぇ ジャン=マルク・ナチエ『 ミネルウァに見守られてピネウスと仲間を石に変えるペルセウス』(トゥール美術館蔵)
 
ジャン=シメオン・シャルダン作『デッサンの勉強』(東京富士美術館蔵)
 
 
ジャン=フランソワ(ジル)・コルソン作『休息』(ディジョン美術館蔵)
 
 
 
エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン作『ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン』(ヴェルサイユ宮殿美術館蔵)
 
エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン作『ユスーポフ公爵夫人、タチアナ・ワシリエワ 』(東京富士美術館蔵)
 
 
ユベール・ロベール作『洗濯屋』(パリ。プチ・バレ美術館蔵)
 
 
ジャン=バチスト・ピルマン作『岩の多い海岸での難破船』(東京富士美術館蔵)
 
 
 
 
ウジェーヌ・ドラクロワ作『書斎のドン・キホーテ』(東京富士美術館蔵)
 
 
 
 
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル作『オルレアン公フェデナン=フィリップ 風景の前で』(ヴェルサイユ宮殿美術館蔵)
 
 
アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾン作『シャトーブリアンの肖像』(ヴェルサイユ宮宮殿美術館蔵)
 
 
アレキサンドル・カパネル作『失楽園』(オルセー美術館蔵)
 
 
イポリート・フランドラン作『ポリテス、トロワに攻めよるギリシア軍を見張るプリアモスの息子』(サン=テチエンヌ近現代美術館蔵)
 
ウィリアム・ブグロー作『青春とアモール』(オルセー美術館蔵)
 
 
この展覧会では約100点のフランス絵画の清華が集まっているのですが、その内3分の1は何と東京富士美術館の所蔵品で占められていて常設展示室の方はガラガラかと申せば、フランドル絵画やオランダの絵画が頑張っているので虫食い状態になっているのは避けられております。
 
今回この展覧会を観て思ったのは、日本では人気の無いプッサン先生ですが、フランスの古典主義を語る上では欠かせない立役者であると言うことと、ルイ14世の肖像画で有名なイアサント・リゴー先生が意外にもイケメンだった!と言う事とマリー・アントワネットの専属画家でもあったエリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン先生は何だかんだと巧い画家であったこと等が判って八王子の山の中まで行った甲斐があったと言うものであります。
 
 
自分にとっての珠玉の一枚! ウィリアム・ブグロー作『死者の日』(ボルドー美術館蔵)
 
 
 
日本では印象派が圧倒的な人気と支持率を誇りますが、ヒネクレ者の自分が好きなのは伝統と格式に縛られた「サロン」で評価されていた「アカデミスム絵画」の方でして今回の作品の中でもアレキサンドル・カパネル作『失楽園』(オルセー美術館蔵)、イポリート・フランドラン作『ポリテス、トロワに攻めよるギリシア軍を見張るプリアモスの息子』(サン=テチエンヌ近現代美術館蔵)等がありますが、別格だと感じたのがウィリアム・ブーグロー先生の『死者の日』(ボルドー美術館蔵)と言う作品でありまして喪服に身を包んだ女性二人が墓地で二度と逢えない人との別れを描いた作品でありますが、こうした作品を観るとやっぱり良いわと自分の中での「好き」と言う要素が確信に変わるのでありまして、この一枚を観る為だけでも八王子に来て良かったなぁと思ったのでありました。