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佐久間文吾作『和気清麿奏神教図』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)



皆様、お今晩は。宮内庁三の丸尚蔵館にて12月24日迄開催中の「明治美術の一断面―研ぎ澄まされた技と美」の後期に行って参りました。その感想です。

明治時代の美術は,開国後間もない社会的な混沌と激動の時代であったその初期を経て,様々な制度を整えつつあった前半期に大きな変貌を遂げました。日本美術の長い歴史の中にあって,それはわずかな期間に起こった急激な変化であったと言えるでしょう。本展では,明治10年代から20年代に制作された絵画,彫刻,工芸,写真を中心に取り上げることで,この時期の造形表現に見られる特質を浮かび上がらせます。
この時代の美術の特質として,まず注目されるのは主に工芸や彫刻の分野に顕著に見られる卓越した技巧主義です。江戸時代に成熟した高度な技術を引き継ぐ精緻な表現によって,新しい時代の変化に応じた作品の数々が生み出されました。一方,文明開化の風潮によって積極的に採り入れられた西洋のイメージや技法は,それまでの時代とはまったく異なる表現を生み出しました。それは一言で表わすならば迫真的表現と呼ぶべきもので,技巧主義とも結び付いて平面作品,立体作品に関わらず様々な素材,技法のもとで,文字通り真に迫った表現が追究されました。また,幕末から技術が流入した写真は,人や物をありのままに写すという記録的な性格から,徐々に絵画的な表現を目指すようになりました。
本展では,近年,“超絶技巧”と注目されている明治時代の造形表現に焦点を当てながら,一つ一つの作品のどこがそれほど驚異的なのかを解き明かし,この時代の美術の本質に迫ります。ご覧になった方々の明治美術に対する興味や理解がさらに深まれば幸いです。


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並河靖之作『七宝四季花鳥図花瓶』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

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濤川惣助作『七宝寰宇無双図額』(宮内庁三の丸正蔵館蔵)

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海野勝眠作『蘭陵王置物』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)


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初代宮川香山作『竹籠に葡萄虫行列図花瓶』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

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山田宗美作『瓦片鳩』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)


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玄鹿館作『富士山二十四景』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)


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川端玉章作『群猿之図』(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)


後期は二人のナミカワである並河靖之と濤川惣助の共演でして有線七宝を駆使した並河靖之先生の作品がメリハリのついた造形美に対して、無線七宝の濤川惣助先生は富士山にたゆまう雲を描くことによりその違いを見せつけておりますし、前回ご紹介出来なかった油彩画の傑作。佐久間文吾作『和気清麿奏神教図』や川端玉章作の『群猿之図』と言った日本画も堪能できたのでございました