こども子育て内なる敵は | 大阪市会議員 飯田哲史

こども子育て内なる敵は

先週からの風邪も相まって今日は家でゆっくり勉強。

明日の市議団勉強会の資料づくりと共に国民健康保険に
ついて再度学習をしています。

大阪市では平成24年度から橋下市長の大号令のもと
乳幼児医療費の無償化に取り組んできました。
現在もその拡大に吉村市長が取り組んでいることも
あり年々対象年齢の拡大が進められています。

厳しい大阪市財政だからこそですが、職員給与の
大幅な見直しや様々な事業の仕切り直しなどでその
財源を工面してきましたが、ひとつネックとなる
国の制度が存在します。

それは、国民健康保険のペナルティー減額制度です。
(正式には、国民健康保険国庫負担金減額措置)

全国の自治体で運営している国民健康保険制度は
そもそもは国の制度です。
健康寿命の違いや地域性を考慮した保険料とするために
運営は市町村(平成30年から都道府県)が担っていますが
一方で国民健康保険という皆保険制度の一つであるという
点も考慮して国(都道府県も)から保険財政、保険料を
一定守るための調整交付金が支給されています。

その調整交付金が、乳幼児医療費の無償化と大きな
軋轢を生んでいるのです。

これまでも大阪市においては老人医療費の減免など
高齢者の医療費について国基準以上の支援策を行って
きました。
その際も問題化していたのですが、医療費の無償化や
負担額の軽減を行うと、国がその分ペナルティーとして
この調整交付金をカットするんです。

要は、その分が保険料に返って来てしまうということに
なるのです。

昨今の少子高齢化が進む日本において、各自治体は
様々な子育て支援策を導入しています。

国においても1億層活躍、地方創生、女性活躍などなど
キャッチフレーズは踊りますが、現場の自治体が汗水垂らして
財源確保を行い、こども子育て施策の一環であり、直接
子育て世代を支援できる医療費の無償化を行ったときに
国は「ペナルティー」と称して本来貰えるはずの交付金を
カットする。。。

これでは、

『罰則付き乳幼児医療費無償化』なんですね。

こんなことを未だにやっているのが厚生労働省。

確かに理屈もわかります。

医療費の無償化をすると医療費が増えるだろう
増える分がたぶん、その医療費全体の1割程度だろう
だから、増えた分の医療費のうち国からの補助分32%を
ペナルティーとして召し上げる!

確かに、昔の大阪市のように無尽蔵に高齢者医療費を
減額しましょう、まけましょうとやっているのであれば
ペナルティーも甘んじて受けましょう。

しかし、国も推進する子育て施策の一環として自治体が
自主財源で行う医療費の無償化に保険財政の面からケチを
つけるような今のこの制度。

ほんまに必要ですか?と。


「笛吹けど踊らず」

総理がどれだけ号令をかけても、役所が持っている一つ一つの
制度が、実はスカートの裾を後ろから踏んでいる-

身近な処にもこんな制度の壁、歪みが横たわっています。

国会議員の皆さんにはぜひ、こういった制度の壁に目を向けて
私たち地方の現場を預かる人間ともっと議論の機会を設けて
頂ければと願ってやみません。

イクメンもそうです。

目立つことよりも制度と本気で戦う姿勢があればもっと
救いがあったのではないかと眺めていたところです。