攻守は1つ。 | 聰志日記

攻守は1つ。

こんにちは。

実は少しの間、ドイツのミュンヘンにヨーロッパ最後の旅行ということでバイエルンミュンヘンのブンデス・リーガの試合を見に行っていたために、UPがおろそかになっていました(いつものように)。

今回は前回の講習会の内容でもあったことに重なることも多いと思うんですが、スペインに来て大きくサッカーの見かたを変えてくれた1つのファクターである「攻守の在り方」について書こうと思います。

攻守は1つ。
攻守に切れ目はない。

僕は日本で指導しているとき、いつもどんなシチュエーションで、どんな状況で、いつの場面を想定してトレーニングしようかなと考えることが普通でした。
つまり、僕の中では攻撃の練習、守備の練習、切り替えの練習といった感じで、各時間、各状況に合わせてトレーニングを考えていました。
そこでバルセロナに来て新たに受けた印象の1つにこのファクターがあったんです。

「どうして攻撃と守備の分かれた練習をするの?」

攻撃中の本当に全員が攻撃だけ考えているの?
トレーニングとは言っても、人数が減ってスペースがなくなっても、次に守備が起こるのはサッカーにおいては当然のことで、そこで終わるのはゴールを決めた時だけでしょ。

そんな話を何度も何度も言われて、僕の中で完全に固定観念になっていたトレーニングの構築法も徐々に変わっていきました。

実際にジョセップのトレーニングでもそういったシチュエーションを含んだトレーニングがほとんどでしたし、よく彼が言っていた言葉に、
「いい守備ができるけど、いい攻撃ができない。いい攻撃ができるのに、いい守備ができない。そんなことは普通に考えたらあり得ない。攻撃と守備は1つなんだから、いい攻撃をしているからこそ、いい守備ができて、いい守備があるから、いい攻撃に入れるんだよ。」
といったものがありました。

昨年、僕たちがリーグ優勝した時、
僕らのサッカーの信念は「ポゼッション」でした。
ただのボール回しではなく、「ボール支配」でした。
チームがボールをビルドアップし、保持しながら前線に向かって攻撃することで、最終ラインも自然と高くなって、コンパクトな攻撃をすることになります。
コンパクトな状況で失った瞬間、相手に対するプレッシングの距離は大幅に近くなるわけです。
ワイドに、そしてコンパクトにポジションされたプレッシングから逃げることは、非常に難しい。
ピンチクリアに走れば、自然とセカンドボールを拾う確率は僕たちが高くなるわけです。
言いかえれば、相手に意図的に蹴らせて、奪う。
目的通りの奪い方になるわけです。
攻撃がいい形で終わるからこそ、守備が意図的な形で動けるという攻守のつながりが現れてるんですよね。

そういった考えが頭の中になかった僕としては、よく考えると当然のように思いながら、それがうまく説明できなかったり、それが理論として頭に出てくることはものすごく難しいことで、そういった違いが僕のような指導者には大事なのかなとも思う出来事でした。

サッカーはあくまでサッカーというゲームの中で動くもので、それを限りなく刻んでしまってトレーニングを行うことは、ひょっとしたらサッカーではなくなってしまう可能性もあるのかなと思うきっかけでもありました。