「最近、ずっと疲れてない?」

 

夕食の時だった。

 

妻が何気なく言った。

 

僕は箸を止めた。

 

「そう?」

 

そう返した。

 

本当にそう思っていた。

 

疲れている自覚がなかった。

 

いや。

 

正確に言うと、

疲れているのが普通になっていた。

 

朝起きる。

 

少しだるい。

 

会社へ行く。

 

夕方にはぐったりする。

 

帰宅する。

 

ソファに座る。

 

動けない。

 

そんな毎日。

 

でも。

 

それが当たり前だった。

 

何年も続いていたから。

 

だから違和感がなかった。

 

ある日曜日。

 

家族で買い物へ行った。

 

ショッピングモールを歩く。

 

子どもは走る。

 

妻も元気だ。

 

でも僕だけ違った。

 

ベンチを探していた。

 

どこかで座りたかった。

 

理由はない。

 

ただ疲れていた。

 

妻が聞く。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。」

 

そう答える。

 

でも。

 

本当は大丈夫じゃなかった。

 

歩いているだけなのに疲れる。

 

休日なのに疲れる。

 

何もしていないのに疲れる。

 

今思えば、

かなりおかしい。

 

でも当時は、

年齢のせいだと思っていた。

 

仕事が忙しいからだと思っていた。

 

みんな同じだと思っていた。

 

だから気にしなかった。

 

その日の夜。

 

子どもが寝た後だった。

 

妻がぽつりと言った。

 

「昔はもっと元気だったよね。」

 

ドキッとした。

 

その一言だけは、

なぜか胸に刺さった。

 

自分では気付かなかったから。

 

疲れていることに。

 

余裕がなくなっていることに。

 

笑わなくなっていることに。

 

全部。

 

自分だけが気付いていなかった。

 

不思議なものだと思う。

 

毎日少しずつ変わると、

本人は気付けない。

 

でも。

 

ずっと近くにいる人は気付く。

 

当時の僕は、

仕事の問題だと思っていた。

 

英語の問題だと思っていた。

 

能力の問題だと思っていた。

 

でも。

 

今振り返ると、

もっと手前のところで何かが起きていた。

 

身体はずっとサインを出していた。

 

家族も気付いていた。

 

気付いていなかったのは、

僕だけだった。

 

もしあの頃の僕に会えるなら、

こう言いたい。

 

「一番後回しにしていたのは、

仕事じゃない。

自分自身だ。」

 

たぶん当時の僕は、

笑って流すと思う。

 

でも。

 

今なら分かる。

 

あの日の妻の一言は、

人生の方向が変わる前触れだった。

 

PS

僕は長い間、

疲れていることすら自覚できていませんでした。

 

でも後になって、

人は不調に慣れてしまうことがあると知ります。

 

その考え方を初めて知ったのが、

僕がたまたま読んだ無料のメルマガでした。

 

もし今、

「特に問題はないはずなのに、なぜか毎日しんどい」

そんな感覚があるなら、

何かヒントになるかもしれません。

 

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