「サトシさんって、本当に頑張りますよね。」

 

後輩がそう言った。

 

悪気はなかったと思う。

 

むしろ褒めてくれていた。

 

でも。

 

なぜか少しだけ苦しかった。

 

「ありがとうございます。」

 

そう返したけれど。

 

心の中では、

違う言葉が浮かんでいた。

 

頑張らないと、

できないんです。

 

本当はそう言いたかった。

 

周りから見れば、

僕は真面目だった。

 

英語も勉強している。

 

仕事も手を抜かない。

 

期限も守る。

 

休日も自己投資する。

 

典型的な努力家だったと思う。

 

でも。

 

僕は知っていた。

 

好きでやっていたわけじゃない。

 

止まるのが怖かっただけだ。

 

もし勉強をやめたら。

 

もし努力をやめたら。

 

もし成長をやめたら。

 

自分には何も残らない気がしていた。

 

だから走っていた。

 

ずっと。

 

ある日。

 

海外チームとの会議が終わった後だった。

 

疲れていた。

 

特別失敗したわけじゃない。

 

むしろ無難に終わった。

 

でも。

 

異常に疲れていた。

 

椅子にもたれながら、

ぼんやり天井を見ていた。

 

そこへ上司が通りかかった。

 

「お疲れ。」

 

「お疲れ様です。」

 

「相変わらず頑張ってるな。」

 

そう言われた。

 

たぶん褒め言葉だった。

 

でも。

 

その瞬間。

 

なぜか何も嬉しくなかった。

 

むしろ虚しかった。

 

頑張っている。

 

たしかにそうだ。

 

でも。

 

頑張っている割に、

全然楽にならない。

 

頑張っている割に、

全然余裕がない。

 

頑張っている割に、

全然満たされない。

 

じゃあ、

いつまで頑張ればいいんだろう。

 

ふとそんなことを思った。

 

今まで考えたこともなかった。

 

頑張るのは当たり前だったから。

 

努力するのは当然だったから。

 

でもその日だけは、

少し違った。

 

頑張っていることが、

誇らしくなかった。

 

むしろ。

 

どこか不自然に感じた。

 

今なら分かる。

 

当時の僕は、

努力そのものに依存していた。

 

努力していれば安心できた。

 

努力していれば価値があると思えた。

 

努力していれば、

自分を嫌いにならずに済んだから。

 

だから。

 

結果のためじゃなく。

 

安心するために努力していた。

 

でも。

 

それは長く続かない。

 

ガソリンが減っている車が、

アクセルだけ踏み続けているようなものだから。

 

いつか止まる。

 

必ず止まる。

 

そして僕は、

そのことにまだ気付いていなかった。

 

だからあの日も。

 

疲れた身体を引きずりながら、

帰りの電車で英語の音声を流していた。

 

明日も頑張ろう。

 

そう思いながら。

 

PS

当時の僕は、

努力できることは長所だと思っていました。

 

もちろんそれ自体は悪いことじゃありません。

 

でも後になって、

努力の方向以前に考えるべきことがあったと知りました。

 

そのきっかけになったのが、

僕がたまたま読んだ無料のメルマガでした。

 

努力が足りないと思い込んでいる人ほど、

一度読んでみると面白いかもしれません。

 

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