金曜日。
19時42分。
会社を出る。
駅へ向かう人の流れに混ざる。
肩の力が抜ける。
ようやく一週間が終わった。
そんな気持ちだった。
スマホを見る。
来週の予定は見ない。
メールも開かない。
今日はいい。
今日くらいは忘れよう。
そう思っていた。
不思議だった。
月曜日から木曜日までは、
ずっと何かに追われている。
何かを証明しなければいけない気がする。
何かが足りない気がする。
もっと頑張らなければいけない気がする。
でも。
金曜日の夜だけは違った。
「今週もなんとか生き延びた。」
ただ、それだけだった。
成功したわけじゃない。
英語が話せるようになったわけでもない。
仕事で表彰されたわけでもない。
でも。
一週間を終えたというだけで、
少しだけ自分を許せた。
だから金曜日の夜は好きだった。
コンビニで缶ビールを買う。
家に帰る。
ソファに座る。
テレビをつける。
何も考えない。
その時間だけが救いだった。
今思えば、
あれは休息じゃなかった。
避難だった。
ずっと戦闘状態だった人間が、
ようやくシェルターに入れた時間だった。
でも当時の僕は、
そんなこと考えたこともなかった。
ただ、
月曜日が来るのが怖かった。
だから金曜日が好きだった。
日曜日の夕方になると、
少しずつ気持ちが沈む。
月曜日の朝になると、
胸が重くなる。
そして金曜日になると、
ようやく解放される。
その繰り返し。
その生活を、
何年も続けていた。
ある時、
ふと思ったことがある。
「これって普通なんだろうか。」
みんなも同じなんだろうか。
みんなも毎週、
月曜日から逃げたくなっているんだろうか。
みんなも金曜日だけ生き返るんだろうか。
答えは分からなかった。
でも。
どこかで違和感はあった。
本当に充実している人は、
金曜日だけ笑っているんだろうか。
本当に好きな仕事をしている人は、
毎週カウントダウンしながら生きているんだろうか。
その違和感は、
ずっと心の片隅に残っていた。
そして後になって分かる。
問題は仕事の量じゃなかった。
英語でもなかった。
能力でもなかった。
もっと手前のところで、
僕はずっとエネルギーを失い続けていた。
だから金曜日になる頃には、
空っぽになっていた。
ただ、それだけだった。
もしあの頃の僕に会えるなら、
こう言うと思う。
「金曜日が好きなんじゃない。」
「金曜日しか安心できなかったんだよ。」
たぶん当時の僕は、
意味が分からなかったと思う。
でも今なら、
よく分かる。
あの感覚は、
身体からのサインだった。
ずっと前から出ていたサインだった。
PS
僕は長い間、
これを性格の問題だと思っていました。
でも違いました。
その考え方を変える
きっかけになった
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僕自身、
「もっと頑張れば解決する」と思い込んでいた頃に読んで、
かなり衝撃を受けました。
もし今の話に少し心当たりがあるなら、
一度読んでみてもいいかもしれません。
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