月曜日。

朝8時15分。

 

オフィスに着く。

 

エレベーターに乗る。

 

「おはようございます。」

 

同僚に挨拶をする。

 

いつも通り。

 

何も変わらない。

 

でも。

 

僕の心拍数だけが異常だった。

 

ドクン。

 

ドクン。

 

ドクン。

 

まだ仕事は始まっていない。

 

誰にも怒られていない。

 

会議も始まっていない。

 

それなのに。

 

胸が苦しかった。

 

僕はデスクに向かわない。

 

まずトイレへ向かう。

 

個室に入る。

 

鍵を閉める。

 

そして。

 

ゆっくり深呼吸をする。

 

吸って。

 

吐いて。

 

吸って。

 

吐いて。

 

まるで戦場に向かう兵士みたいだった。

 

でも当時の僕は、

これが普通だと思っていた。

 

みんなそうなんだろうと。

 

社会人ってこういうものなんだろうと。

 

だから疑わなかった。

 

疑うという発想すらなかった。

 

ようやく少し落ち着いて席に戻る。

 

パソコンを開く。

 

メールを確認する。

 

海外チームから返信が来ている。

 

たった数行の英文。

 

でも読む気になれない。

 

頭が拒否していた。

 

金曜日までは読めていた文章なのに。

 

なぜか入ってこない。

 

視線だけが文字の上を滑っていく。

 

そして気付く。

 

何も理解していない。

 

もう一度読む。

 

また分からない。

 

焦る。

 

焦るから余計に読めなくなる。

 

すると頭の中で、

いつもの声が聞こえる。

 

「だからお前はダメなんだ。」

 

「TOEICだけじゃないか。」

 

「結局、実務では使えないじゃないか。」

 

当時の僕は、

その声を事実だと思っていた。

 

だから勉強した。

 

もっと勉強した。

 

平日も。

 

休日も。

 

寝る前も。

 

移動中も。

 

でも。

 

不思議だった。

 

頑張れば頑張るほど。

 

なぜか苦しくなっていく。

 

なぜか疲れていく。

 

なぜか頭が働かなくなっていく。

 

普通は逆じゃないのか。

 

努力したら楽になるはずじゃないのか。

 

そう思いながらも、

止まれなかった。

 

努力をやめたら、

本当に終わる気がしたからだ。

 

今なら分かる。

 

当時の僕は、

英語と戦っていたわけじゃない。

 

上司と戦っていたわけでもない。

 

海外チームと戦っていたわけでもない。

 

自分の身体と戦っていた。

 

もっと正確に言うと。

 

身体が出していたSOSを、

根性論で踏み潰し続けていた。

 

だから苦しかった。

 

だから月曜日が怖かった。

 

だからトイレで深呼吸しなければ、

仕事を始められなかった。

 

でも。

 

当時の僕はまだ知らない。

 

その状態が、

異常だったことを。

 

社会人だから苦しいんじゃない。

 

外資だから苦しいんじゃない。

 

英語だから苦しいんじゃない。

 

もっと別のところに、

原因があったことを。

 

それに気付くのは、

もう少し後の話だ。

 

もしあなたも、

会社に着いた瞬間から疲れているなら。

 

昔の僕と同じ場所に立っているかもしれない。

 

僕が遠回りして気付いたことは、

同じように悩んでいる人の役に立つと思う。

 

興味があれば、

下に置いておきます。

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