― 大宮妄想小説です ―
※ 登場人物は「Gimmick…2」からになりますが
これは、某童話?のパロディになります(≡_≡)
・でも原作に忠実ではありません(≡_≡)
・ それでも読んでみたいという許容範囲の広い方
・ 気分を害されない方のみお進み下さい(≡_≡)
「…凄く美味しかった、です。
ご馳走様でした」
先程手を繋いだまま連れてこられたのは
広い食堂
豪華な椅子にテーブル
高価そうな絨毯に美術品
和也は落ち着かない様子で座っていたのだが
野獣に仕えているのであろう執事が
とても美味しそうな料理の数々を運んできて
一瞬で目を奪われた
父親と食べていたのは
いつもパンとスープ
一週間に一度
肉が食べられればマシな方なのだ
自分とは全く違う暮らしをしている野獣に
憧れる和也
「口にあったようで良かった」
「…本当にありがとう、ございます。
こんな豪華な食べ物までご馳走して頂けるなんて…」
初めて見た食べ物は
どれも美味しかった
…だが自分は
客として招かれたのではない
父親の代わりとして
身売りに出されたのだ
豪華で美味しい料理を食べられたのは
正直に嬉しいのだが
自分には相応しくない待遇
「宜しければ
こちらのデザートと飲み物もどうぞ」
「、…あ…あの…」
執事が見目美しいデザートと
とても香りの良い飲み物を運んできて
深々と一礼して下がっていく
「…えっと…」
「遠慮するな」
「…でも…」
「今日からお前はここで
一生俺と暮らすのだから」
「、………え…?」
“ 一生 ” ?
「すぐにとは言わないが
徐々に慣れていけばいい」
「…ちょっ…あ、あの…」
「…これからは
俺が和也を幸せにしてやる…」
「っ……そ、それって…」
“ プロポーズ ” ?
まるで
男の人が女の人に結婚を申し込む時のような言葉に
和也は頬を真っ赤に染めた
「……」
不思議と嫌な感じはしない
それどころか
野獣にそう言ってもらえて
何処か嬉しいと感じる和也
「…あ…あの…えっと…その…」
けれど和也は
どう答えていいか分からない
自分は父親の身代わりとしてここに来た身
それなのに
悠々と自分だけ豪華な生活をしていいのだろうか?
…最初は
野獣のことが怖いと思った
だが今の和也の想いは違う
野獣が心優しいのだと知っている
一生傍に居られるのは嬉しい事だが
けれど…
自分とは住む世界が違う人
「…あの…
お気持ちは…嬉しい、ですが…その…」
「…敬語」
「…え?」
「…敬語は止めろ」
「いや、でも…それは無理…」
「止めないと、犯 す」
「……おか…?」
それは無理です、と断る前に
野獣から言葉を遮られてしまった和也
しかも敬語を止めないと “ 犯 す ” と宣言する野獣
…しかし和也は
“ 犯 す ” という単語を知らなかった
「…?」
聞いた事のない単語に
小首を傾げて頭を悩ませる
「…知らねぇのか?」
「…は、はい…すみません…」
「謝るな。
それに…俺はそっちの方が都合がいい」
「…都合…?」
「何も知らねぇ奴に
最初から躾られると思ったら堪んねぇ」
「…、」
ニヤりと悪どく笑う野獣に
和也は防衛本能なのか分からないが
ぶるりと身体を震わせる
「……あ…あの…」
「…で、どうする?」
「…え…?」
「それでも敬語使うのか?」
「、…え、…っと…」
その言葉に
チラリと上目遣いで一瞬だけ野獣を見ると
すぐに俯いた
「……」
和也は悩んでいるのだ
自分とは全く違う
高貴な方であろう野獣に
敬語も使わず接してもいいのだろうかと…
…でも
「やっぱり敬語は無理です」 と断れば
何だか自分の身が危なくなると
本能がサイレンを身体中に流して
訴えている
だから…
「…えっと…本当にいいんですか?」
和也はおずおずと口を開く
「ん?」
「…俺なんかが、その…
敬語を使わないなんて…」
「…いいに決まってんだろ」
何処までも純粋で奥ゆかしい和也が
本当に可愛くて堪らなくて
野獣は和也の頭を優しく撫でる
「これからずっと一緒なんだ。
遠慮なんかするな」
「、…は、はい…
じゃなくて…うんっ」
頭を撫でられるという行為に慣れていないのか
和也はまた恥ずかしそうに頬を赤く染めながら
返事をした
野獣と和也は
たくさんの事を話した
今までどんな事をしていたとか
趣味は何なのかとか
好きな食べ物の話しや
これからどんな事をしたいか、と…
…話したと言っても
話すのは和也ばかりで
野獣は和也の話しを
楽しそうに聞いているだけだった
和也も野獣に
今までどんな暮らしをしていたのかなど
さり気なく訊いてみるのだが
野獣はやんわりと話しを逸らして
和也の事について会話を持っていく
そんな野獣に和也は
「訊かれたくない内容なのかな?」 と思い
野獣から話してくれる日まで待とうと
訊くのを止めて自分の事について話したのだった
「……ふ、ぁ…」
欠伸をした際に出てきてしまった涙を
和也は指の腹で拭う
長い時間話していたからなのか
和也は眠くなってきたのだ
「…そろそろ寝るか」
「…あ…ごめん。
話してた途中なのに…」
「気にするな。
…ほら、こっちに来い」
「え…っ…ちょっ…」
眠たそうに目を細める和也に
野獣は再び和也の手と自分の手を重ねて繋ぐ
「ちょっ…ど、何処に…」
「最初に言っただろ?
…“ 毎日同じベッドで寝ること ” って」
「、…ぁ…」
「…忘れてたのか?」
「わ、忘れて、ないよ…」
「忘れんなよ…」
「う、うん…」
忘れていた、というより
和也は “ 一緒のベッドで寝ること ” と
野獣が言ったのは冗談だと思っていたのだ
だが冗談ではなかったのだと今分かった和也は
脳内で慌てふためく
手を繋がれている為逃げられないし
…口でも野獣には勝てそうにない気がする
しかし和也は
一緒に眠ることが恥ずかしくて
必死に打開策を見つけようとする
「あ、あのさっ…」
「なんだ?」
「えっと、俺
凄く寝相悪いよ?」
「……それが?」
「だ、だからさっ…
一緒に寝たら蹴っちゃうかも…」
「だから一緒に眠るのは止めない?」 と言うと
野獣は眉間に皺を寄せる
「ダメだ」
「で、でも…」
「蹴れねぇように
俺がずっと抱き締めといてやる」
「っ!?…な…何それっ…」
「そのままの意味だ」
“ そのままの意味 ”
和也は頭の中で想像してみる
蹴れないようになるほど抱き締める
=
物凄く至近距離で抱き合って眠る
「………………………………だっ、ダメっ!!」
野獣の言葉通り想像してしまった和也は
頬を真っ赤に染めて反論する
「…ダメじゃねぇだろ?」
「で、でもっ…
そんなの…恥ずかしい…」
「…んなに照れんなよ。
ほら、来い」
「あっ…」
そう言って和也が連れてこられたのは
とても広い部屋に
天井にぶら下がっている煌びやかなシャンデリア
ふかふかの赤い絨毯
そして…
大きいベッドの上に寝転がって
手招きをしている野獣…
「、…あ、あの…
やっぱり俺…無理っ」
「……何でだ?」
「だ、だって…その…恥ずかしい、だろ…?
一緒に寝るなんて、恥ずかしくないの?」
「…俺は
和也と寝れると思うと嬉しい」
「っ…なっ…何言って…」
「ほら、おいで。
別に今すぐ手は出さねぇから」
「…う、…うん…?」
野獣の言葉の意味を理解出来なかった和也だが
野獣は自分なんかと一緒に寝るだけで
嬉しいと言ってくれるのだ
それが和也はとても嬉しかった
「…えっと…じゃあ…
お、…お邪魔、します…」
ベッドに寝転んだまま
野獣は自分の横をポンポン、と叩く
「、…」
そんな野獣の行動に
和也は羞恥を感じながら
恐る恐るとベッドの上に上がった
「…もっとこっちに来い。
落ちるぞ」
「、…で、でも…」
「もっと俺に近寄れ」
和也はベッドの上には上がったのだが
今にも落ちてしまいそうなほど
ベッドの端に蹲るように寝転んだ
そんな和也を見て野獣は
愛おしいものを見るように目を細めて
口角を上げると
和也の身体を後ろから抱き締めた
「っ!? ちょっ、…ちょっとっ」
「…あったかいな、和也は」
「、…ば、…ばかっ」
後ろから野獣に抱き締められた和也は
ベッドシーツに顔を埋め
シーツを握り締める
恥ずかしいという気持ちもあるのだが
戸惑ってしまう
和也は人との温もりを
久しく味わっていなかったから…
父は和也が幼い時から仕事ばかりで
兄にはいつもいじめられてきた
あまり愛情を受けずに育ってきた和也は
野獣の些細な優しさに戸惑ってしまう
嬉しいのだが
どうやってその気持ちを伝えればいいのか
和也には分からないのだ
…だから
頬を赤く染めながら
抵抗する言葉しか出てこない
野獣はそこで言葉を止める
「……和也」
「…な、…なに…?」
「…俺のこと
怖くないのか…?」
「…え…なんで?」
「普通は、怖がるだろ…
こんな姿を見たら…」
野獣にとっても
和也のような存在は初めてだった
その姿を見れば
悲鳴を上げて逃げ出すか
腰を抜かして逃げる事も出来なくなるかの
どちらかだというのに
和也は怯える様子すらなかったから
「…ちょっとは…怖かったよ…」
「……そうか」
「で、でもね…
それ以上に、凄く優しい人なんだって
わかったから…
だからもう全然怖くない」
「…和也」
「本当にありがとう。
感謝してもしきれないよ。
父を許してくれて…おまけに俺にまで
こんなに優しくしてくれて…」
「……」
和也の言葉を聞いて
野獣は嬉しかったのか
和也の身体を抱き締めていた腕の力を更に入れて
ギュッと抱き締めた
「…和也、俺は…」
「…なに…?」
「この姿は…本当は…」
「…え…?」
「……いや……何でもない…」
和也に言っても
困らせるだけだと思ったから…
その時が来たら
本当のことを打ち明けようと野獣は思った