学生の頃、ドラクエにハマった。

 

 大学にも行かず、バイトにも行かず、ただひたすらドラクエをプレイする。

 

 いつしか寝落ちしているが、脳は興奮状態のまま、寝ている間もゲームをしているような感覚だ。

 

 数時間後、ばちりと目を覚まして、当たり前のようにドラクエの続きをやり始める。

 

 これをエンディングまで続けるのだ。

 

 ドラクエは終わりがあるから、まだマシだった。

 

 

 

 年末の26日から始まったデスマーチ。

 

 まるで学生時代のドラクエのようなペースでパソコンに向かい、淡々とシステムの構築を続ける。

 

 家族は旅行中で、邪魔は全く入らない。

 

 数件の用事を除いて、年末年始はずっとこんな調子で仕事漬けだった。

 

 5日になってようやく目処がつき、待ちに待った深い眠りについた2時間後、夜中の3時に顧客からの電話で叩き起こされた。

 

 バッチでエラーが出ていると言う。

 

 それが本当なら、やっと終わったと思った地獄はまだ続いているということだ。

 

 眠気が一気に覚め、緊張して端末に向かう。

 

 ところが、どんなに調べてみても、何の問題もない。よくよく顧客から送られてきたエラーを見てみると、顧客側のシステムのエラーのように見える。

 

 私は電話をかけてきた顧客担当者に、勤めて冷静に切り出した。

 

 HULFTの受信エラーと出ていますので、そちら側のエラーじゃないですか?

 

 そちらの起動ではないのですね

 

 ええ、HULFTはこちらには導入されていないです

 

 そうですか

 

 え? これで終わり? 3時に叩き起こしておいて、詫びのひとつもない?

 

 そんなことはもうどうでいいか。とにかく寝よう。

 

 

 

 数時間後、またしても電話で叩き起こされた。今度は部下からだった。

 

 別の顧客とのミーティングだった。時計をみると7分遅刻していた。

 

 慌ててビデオミーティングに参加する。

 

 申し訳ございません。

 

 最初に顧客に謝罪したが、明らかに呂律が回っていない。

 

 俺、今日、死ぬんじゃないか?

 

 寝起きで朦朧とした頭に、そんな予感がよぎった。