塾講師1年目の皆さん、こんばんは。
いつもありがとうございます。

入試シーズン、お疲れ様でした。
いやいや、頑張りました。
受験生の方ではなく、私たち、塾屋。

何か月も前から、いや何年も前から
その生徒のこと、その保護者のことを考え
志望校はどこがいいか、併願校はどこがいいか
模試の結果から毎回作戦を変更したり、
面談で突如出てくる新情報に振り回されたり、
普段は子どものことは母親に任せっきりだったのに、
直前になって突然父親が出てきてギャーギャー…。
あ、失礼。
いいろいろありましたね。

「私どうせダメだと思います」的なネガティブ発言、
不安や恐れから急に涙を流して泣き始めたり、
夜中にコンビニに入ったきり朝まで帰ってこない、
むしゃくしゃして親と大喧嘩して塾に来たり
先輩風吹かし部活の練習に顔を出して骨折したり
急に恋愛に目覚めていまい毎日ため息ばかり、
深夜まで頑張った結果高熱を出して模試休んだり
公立志望だったはずなのに「やっぱ私立で」とか
さんざん悩んで併願組んだのに「単願で」とか
まあ、次から次へといろいろな予定外な事態が
ありますよね、毎回。

終電逃して、あるいは休日を返上して、
生徒や保護者と頭を突き合わせて作戦を立てた
併願パターン。

これでもかと何度も何度も繰り返し推敲、添削、
書き直しの指示をした推薦の為の自己PR。

他の学年の生徒の質問対応を後回しにして
付け焼刃だけどやらないよりマシ、と頑張った
面接練習。

生徒一人ひとりの答案を丁寧に採点、赤入れして
次へ向けたコメントを一枚一枚書いてあげたり、

他にも仕事たくさんあるんだよなぁ…と思いつつ
受験生の質問対応や、補習、欠席振替を優先し
結果、入試前はいつも残業。

もしかしたらあまり意味ないかも?と疑いつつも
入試当日の朝に駅や学校の近くで塾生を待ち
最後の応援をする入試応援。始発電車に乗るために
早朝4時起きで出かけたことも数知れず。

いつもは大口をたたいている子が不安な表情を
しながら会場へと向かうのを少しでも励まそうと
凍える寒さの中何時間も耐えて待ち続ける。

合格発表の瞬間は、他の先生たちとパソコンの
前に集まり、胸が詰まりそうになるのを堪え
発表を待つ。鳴らない電話にソワソワしつつ
それでも手を合わせて「きっと大丈夫」と
親戚でもない他人の子の合格を必死に願う。

それもこれも、全部、
塾生たちの志望校合格のため。

きっと。
いや、確実に。
俺たち塾屋は、きっと学校の先生たちよりも
生徒たちの志望校合格を願っている。

ご家族やご親族のそれにはかなわないが
同じくらいにアツい想いで合格を信じ、
そのために長い時間をかけてその生徒の為に
できることを何でもやってきた、と。
自信を持って言える。

だから。

合格しました、という塾生からの電話は
もう何にも代えがたいほど嬉しい。
そして安堵する。感謝する。

そして。

ダメでした、という短い文面や
涙交じりの電話越しの暗い声は
自分のことのように残念で悔しくて
申し訳ないという思いと
ぶつけどころのない複雑な感情に
徹底的に押しつぶされる。

いずれにしても、毎年、毎年、
この入試シーズンの最後に感じる
“塾屋”ならではの感情の起伏は
きっとこれを読んでくれている全国の
塾屋にしか理解はしてもらえないだろう。

変な話だが、これがあるから、
この仕事はやめられない。

売上や利益や合格実績、そうしたものも
もちろんあった方がいいのだが、
たとえそれらが無くても、
この熱く重い、何物にも代えがたい感情が
俺たち塾屋を“本気”にさせてくれる。

そう。
毎年、塾屋は本当に本気で、
教え子たちの志望校合格を取るために
決死の覚悟で身を削っている。
なんとしても合格させてあげたい。
それだけしかない。

ちょっと残念なのは、
塾生本人にも、その保護者にも、
この想いはきっと伝わっていないだろうと
いうことだ。

不合格なら、その後会うこともない。
感謝されることもなく、場合にっては
文句を言われ、悪評までSNSに書かれる。

合格しても、その後はあっさりと
「お世話になりました」でさようなら。
まあ、結果を出して当然なのだから
こちらもいたってクールにお別れするが…。

上手く言えないけれど、
誰からも正しく評価されることのない中で
ただただ塾屋として何をすべきかということを
無心で無我夢中で我武者羅に、何か月も
何年も、その生徒たちのためにやり続ける。

孤独で不器用な、職人のような、塾屋。

いかがです?
もう少し一緒にやりませんか…塾講師。