こんばんは。
いつもありがとうございます。

「餅は餅屋」ということわざがあります。
ざっくりとした意味を説明すれば、
物事はその分野の専門家に任せるのが良いという意味です。
いくら素人が上手にできたとしても、所詮は素人仕事でしかなく、
専門家には到底かなわなかったり、仮に専門家っぽくできたとしてもどこかで綻びが出たり…。
だから専門的なことは、それぞれの専門家に、その道のプロに任せるのが良いという教えです。

塾講師なんぞを長くやっていると、この「餅は餅屋」を思い出すことが何度もあります。
その多くは保護者様と面談などでお話しているときです。

・まあまあ高学歴の保護者。受験で成功体験のある保護者。
・受験雑誌や教育関係書籍、教育系YouTubeの信者。
・地域のママネットワークの情報に振り回されがちな保護者。
・二人以上の子をお持ちで上の子の受験経験がある場合。
・そもそも人の話を聞かない保護者…。

もちろん例外はあります。
でも、こうした保護者様と話をしていると
塾というものをどこか下に見ているような感じでお話をされている方が多い傾向にある気がしています。

・まあまあ高学歴の保護者様。
“まあまあ”というところがポイントです。
最難関校ではなく、二番手校出身者くらいなイメージです。
保護者様ご自身の高校受験や大学受験の時の経験を元に、塾からの提案に対して「いや、先生それはね…」と全て否定から返してくることがとても多いです。
自分の子なのだからもっと成績は上がるし志望校も高いところを当然狙える。
自分自身がこの方法で上手くいったのだから、間違いない。
こんな感じです。
自分自身の記憶・成功体験がベースにあるので、信じて疑いません。
そしてそれが我が子にも間違いなく当てはまると信じています。
高校3年生の時の経験を、小学6年生の子の受験に応用しようとします。
良かれと思っているので、塾側の説得に対しては「疑念」持ちません。
先日退塾していただいた保護者様は、「私、○○大を出ているのですがね…」と学歴でマウントをとりに来たのでびっくりしました。いい歳して情けない…と思わないんですかね。
ちなみに、最難関校ご出身の保護者様にはこのタイプはほぼいません。

塾からの提案に耳を傾け素直に理解を示してくださり、「お任せします」のひと言で終了です。

・受験雑誌や教育系YouTubeの信者、教育関連書籍の愛読者。
プレジデントFamilyやAERA with Kids、週刊ダイヤモンドなどのビジネス系の教育雑誌や教育系YouTubeを配信するユーチューバーのチャンネルが数多くあります。
これらの情報を鵜呑みにしている保護者もなかなか面倒です。
併願パターンや苦手教科の勉強法など、雑誌を参考にするのは構わないのですが、塾の担当講師からの併願提案を聞くや否や、「いや、先生でもね雑誌で…」と聞きかじった知識を集めた講釈が始まるのです。
雑誌や動画で紹介しているのはあくまで一般論です。塾屋として働く全国の塾講師なら当然大抵のことは知っていますし、雑誌や動画の内容を否定するつもりもありません。たまに怪しいのもありますが。
生徒を、お子さま本人を直で指導している塾講師が言うことよりも雑誌や動画から得た情報を優先し、塾の話は「本当に?」という態度で真剣に相談に乗ってもくれない。しまいには、あの塾はダメだ的な噂を流してくれたりもします…。

そのほか、『中学受験は…』系の本や『正しい塾の選び方…』的な書籍などを読み漁っている方も、こっちの話は半分も聞いていません。

・地域のママネットワークの情報に振り回されがちな保護者。
○○さんのお母さんが話していた…△△君のママから聞いたのだけど…。
どこそこの高校は雰囲気が良くないだの、あそこの塾は学生バイト講師ばかりで成績が上がらないだの、駅前の大手塾の先生はイケメンで力もあるだの、どこかの中学校の生徒の多くはどの塾に通っているだの、良くも悪くも地域のママネットワーク情報は強いです。
そして結構それらの情報は正しかったりするので、塾屋も注意して聞いています。
しかし、それらにブンブン振り回されている保護者もいます。
少しでも良いものを、できるだけ良い選択肢を、と思うのは悪いことではないのですが、自分の子に合うかどうか、自分の子はどう思っているのか等、本当に大切にしなければいけない情報には目もくれず、とにかく地域の評判やネット上での評判や評価を最優先で見て動く保護者様。
塾講師が生徒との面談で聞いた本人の想いや希望を話しても、「でもね先生…」とくる。
他人の評価と自分の子の声とどっちが大事なんだ…と、ついこちらも熱くなってしまいます。

・二人以上の子をお持ちで上の子の受験経験がある場合。
これは、良い場合とダメな場合と両方あり得ます。

本当に賢い保護者様は、上の子の受験体験から得た教訓も活かしながら、

「でも下の子は上の子とは違う人間だから」と冷静にその子のことをゼロベースで見ています。
賢いフリをしているだけの保護者様は、

「上の子のときはこれで失敗・成功したので…」と、失敗を経験した場合はその逆を、成功を経験した場合は全く同じ道を選ぼうとします。
例えば、お兄ちゃんが個別指導塾に通って受験したら成功しなかった。だから妹は個別指導ではなく駅前の大手の集団指導塾に入れる…など。

個別だったから受験で上手くいかなかった、というあまりにも短絡的な分析しかしておらず、同時に、妹に集団塾が合うかどうかなどは考えずに本人の希望や体験受講などもせずに決めてしまいます。

妹さんの性格や勉強の仕方からすると個別指導の方が合うかもしれませんよ…と話しても、「いえ、だって先生ね…」となります。

・そもそも人の話を聞かない保護者…。
もうこれは性格によるところも大きいのかもしれませんので挙げればきりがありません。
何故この人は子どもを塾に通わせているのだろう?と、塾屋のこちらが疑問に思うくらい何も話を聞いていないケース。

保護者会でも面談でも電話でも、ご自身の言いたいことをとにかく押しつけてくる感じ。

往々にして感情的な話が多く、そして話がとても長いです。
誰かに愚痴を聞いて欲しいのだろうなと思い、長々と話を聞くときもありますが、たいていの場合、同じ話を何度も繰り返し、私は悪くないスタンス、でも子どもは可愛い、頭ではわかっているのだが心配で…云々。
講師が寄り添いながら、ではこうしましょう、と提案すると「わかりました、でも先生…」となる。
全然わかってなーい。

なんだか愚痴っぽくなってきたのでこの辺でやめておきます。
繰り返しますが、例外もあります。
しかし、こうした保護者様に共通するのは、「でも…」と否定的な返しから話を始める人が多いことです。

いくらたくさん子育てをしていたとしても、せいぜい3~5人くらいのはず。
塾屋は何百人、何千人の受験生を見てきています。

どれだけ受験経験をしていたとしても、せいぜい2~3回でしょう。
塾屋は何百回、何千回と合格不合格を見ています。

教育系の書籍、教育学部卒、有名大卒、なんでもいいですが、
塾屋はこれでメシを食っています。命がけで毎日向き合っています。

餅は餅屋。
塾は塾屋、受験は塾屋。

なんでもかんでも塾に任せりゃあ良いとまでは言いませんが、
少しは専門家の言葉に耳を傾けてもいいのでは?と思ってしまうような保護者様が少なくありません。
そして、人の話を聞かない保護者の子どもは、やはり人の話を聞きません…。
ま、これ以上続けると悪口になるので、この辺でやめておきます。

塾講師の皆さん、そんなもんなんだとどこかで割り切って、
きちんとこちらの話を聞いていただける保護者様とそのお子さまを大切にしてください。
では。