夏休みの過ごし方
小5の皆様
今回は、私立中学受験の勉強をしている方。
皆さんの多くは塾の夏期講習に参加されるはずです。
夏期講習なんて復習だから出なくてもいい…なんてのは危険な考えです。
だまされたと思って、参加してください。
偏差値が65以上あるなら夏期講習以外の選択肢を考えてもいいかも、と
個人的には思いますが、そうでないなら夏期講習は必須です。
最上位生向けの塾やコースでは、
講習も単元先取り学習を予定していますが、
多くの中学受験塾では、夏期講習のカリキュラムは
どの教科も1学期内容の「復習」が主な内容でしょう。
この「復習」が超大切です。
普段の授業では、毎回新しい単元を学習し、
理解もそこそこにたくさんの宿題が出され、
毎週追われるように4科の宿題をこなしているはずです。
宿題をやること=授業の復習、です。
これをやらなければ、せっかく教わった内容も定着できずに忘れてしまいます。
で、どの程度定着したかを測るのが、
週テスト、確認テスト、カリキュラムテスト、デイリーチェック等々の小テストです。
月ごとに理解度や習熟度をはかるのが、
月例テスト、マンスリー、組分けテストなどなど…。
本当に理解していれば、いつ問題を解かせても、きちんと正解できます。
しかし、
なんとなくわかったような…というレベルや、
とりあえず覚えた!という暗記で乗り越えるタイプですと、
時間の経過とともに学習内容を忘れていきます。
入試においては、小6だけでなく小5で学習した単元からも出題されますし、
むしろ小5内容が基本となっている問題が大半を占めます。
小5の内容がモワモワ~ンとしたままでは、小6の学習はおろか
小5の後期、テキスト下巻の内容も理解が追い付かずに困ることになります。
話が長くなりました。
講習時の「復習」は、
これまでの単元ごとの学習内容をまとめて「俯瞰」することで、
何を学んできたのかを思い出し、
それぞれの単元のポイントを整理しながら、
各単元の内容が相互に関連していたり、共通点があったりすることに気づき、
思考の幅を広げるとともに、記憶・定着のための楔を追加で打ち込む。
こんなことが期待できるのです。
さらに、子どもたちは、
前に授業で教わったときはよくわからなかったけれど、
講習で再度説明を聞いてみたら理解できたし、問題も解けた!となり、
自信がつきます。(真剣に授業を聞いていれば、ですが)
この「再発見」につながる「復習」こそが、夏期講習の目的です。
もう、本当に、何も覚えていません。
子どもたち。
「え、そんなの初めて聞いた~」と満面の笑みで返してきますが、
いや、ガッツリ授業でやったしコレ!
なんなら先月末にやったばかりじゃん!
テキスト見てごらん、ほら!線引いてあるし。
そして、その時の小テストではキミ、80点取れてたよっ!?
…というようなツッコみ祭りです。
これを、ご自宅で、お父様お母さまが忙しい合間をぬって
お子さまの「復習」のサポートをすることができますでしょうか。
98%の確率で、親子間での紛争勃発…。
親「いつまでダラダラやってるの!さっきも教えたでしょ!
さっさと終わらせなさい!」
子「うるさいな、今やろうとしてるとこだよ!っていうか、
塾の教え方と違うから余計にわからなくなっちゃったんだよっ!」
親「人に教えてもらっておいてその言い方は何?! 一体何様のつもり!」
子「うるさいなぁっ!だったらもう教えてもらわないからいいよ!」
親「ああそう、好きにしなさい。こちらも晩御飯は作りません!」
もっと平和的なご家庭もあるのでしょうが、
少なくとも我が家はこんな感じになります…おそらく。
講習中は自習室が終日使える塾もあります。
暑い日が続きますし、長い夏休みの間毎日のように闘いをしていては
「もう受験なんかしない」になりかねません。
講習の授業の時間を見て、その2時間前には塾について予習。
授業後は2時間くらい残って勉強してくる。
そのために1食くらいお弁当になるかもしれませんが、
出口のない親子紛争を連日繰り広げるよりは良いはずです。
「毎日、塾に行って勉強してくるなんて本当にスゴイね」と言いながら、
笑顔で塾の講習に送り出しましょう。
ちなみに、予習シリーズを使う多くの塾では上巻の復習をしながら、
下巻の内容に少し進むはずです。
倍数と約数/割合/比/平均・多角形/速さ/円とおうぎ形
/平面図形と比/旅人算の利用/売買損益・濃さ/速さと比
柱体とすい体/差集め算/場合の数/素因数分解
水量変化とグラフ/規則性に関する問題
どれも重要ですが、まとめると、
割合、速さ、平面図形、数の性質、というところでしょうか。
ここから比をからめて解かせる問題が中心になってきます。
特殊算は基本の考え方をしっかりとマスターすること。
割合、速さも、そもそもの考え方を理解し、文章から何を求めるのかを
素早く判断できるよう練習を。
平面図形は、手を動かして解く作業に慣れさせること。
解こうとしたことをたくさん褒めてあげてください。
基本ができるようになった単元、
少し難しい応用問題も解けた単元などが、視覚的にわかるよう、
目次にマーカーで線を引くなどして、
この夏にできるようになったものが一目で見えるようにすると自信になります。
また、日々5問程度で良いので、計算を。
算数が苦手な子ほど、
計算力を鍛えておくと、後々多くの場面で助けになります。
前述の「できるようになった単元」が期待できない場合は、
この夏だけで計算を何題解いたかを積み上げ式でカウントしていき、
ひと夏で○○問も計算を解いたのって、結構スゴいことだよね!と
褒めてあげてください。
来年6年生の夏は、遊んでなんかいられません。
だからといって小5の夏に思い切り遊んでおこう…というのは違います。
どうしても遊びたいなら、志望校を下げるか、受験をあきらめるか。
そのくらいの覚悟はしてください。
こんなに頑張れた、という自信を子どもに着けさせる小5の夏。
多少の息抜きやレクリエーションはもちろん必要ですが、
この先の受験生活を左右する大切な夏であることはお忘れなく。
勉強ばかりで可哀そう…は間違いです。
解けないままでいること、
わからないものをそのままにして過ごすことが可哀そうなのです。
分かれば面白い。解ければ楽しい。それが受験勉強です。
勉強が楽しくなれば、勉強ばかりの日々は、
とてつもなく充実した日々になります。