「塾の先生って、結構お給料良いんでしょ?」

 

面談や電話のときに、

ある程度気軽に話せるまでに関係性を築けた保護者の方から

たまに言われるセリフの一つです。

 

良い給料、というのが、

どのあたりの金額をさしているのか…。

良いか良くないか、人ぞれぞれの価値観によるところが少なくないと思います。

 

また、大手塾に勤務する場合と、

個人塾に勤務する場合と、

自分で経営者として運営する場合と…様々なケースによって

収入にはそれなりの大きな差があるはずです。

 

塾講師の平均年収を色々調べると、

最近ちびまる子ちゃんが宣伝している某有名塾Wは約537万。

コーチングで有名な某個別指導塾Mは約491万だとか。

 


厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、

個人教師や塾・予備校講師の平均年収は36.9歳で394万円となっています。

男女別だと、男性の平均年収は418万円、女性の平均年収は338万円となっています。

 

これ正社員だけ? 契約社員なんかも入ってるのかなぁ…。

塾と、予備校とでは差がありますし、

教師職や営業職、事務職など職種によっても差がありますし…。

 

初任給は比較的高めに設定されていて、

月給20万円~25万円程度。
年2回のボーナスがあると見込んで年収約350万円からスタートです。

リクナビやマイナビなど、大手の就職支援サイトで比較すると、

塾業界もそれほど悪くないように見えます。


でも、そこには見なし残業代や諸手当が含まれていたりとか…。

いえ、なんでもありません♪

また、昇級は比較的なだらかなところが多いそうです。
30歳でも月給30万円前後、ボーナス込みでも年収450万円程度までしか

上がらないことも珍しくありません。
30代ともなれば、多くは教室長やスクールマネージャー、校舎リーダーなど、

責任ある立場になっている社員も少なくありませんが…。

 

エリアマネージャーやプロジェクトリーダーなどの課長クラスになれば年収600万、

広域責任者や本社の部長クラスになってようやく年収800万~が見えてきます…でも、

部長だらけの塾なんて、あるわけないですよね?

 

令和2年に発表された国税庁民間給与実態調査によれば、

日本人の平均年収は 436万円とのことですから、

塾業界の平均年収は、まあ、

平均並みか、平均をやや下回るあたりということでしょうか。


偏差値でいえば50以下です...。

これを「良い給料」というかどうかは、

人によって様々だと思います。

 


私がかつて務めていた会社も、

年齢と同じ2桁の数に万をつけた額が月収でした。

ボーナスはあったりなかったり。

 

ブラックな職場としても有名な(有名だった?)塾業界です。

1日12~15時間労働なんて当たり前。

月の時間外勤務が100時間なんてのも当たり前でした。

 

よく見かける大手塾の正社員シフトの例が、

平日は13時~22時の9時間勤務、1時間休憩で実働8時間。

 

電話が鳴ったり、生徒の質問対応があったりで、

実際は休憩なんてしていられませんから実働9時間。

会議があれば午前中に呼び出され、プラス2時間。

中高生は21時過ぎに授業が終わり、

そこから質問対応などをして22時までには帰宅させます。

当然22時以降に残務処理や採点採点業務が待っています。

報告業務や清掃などもあれば23時に上がれることは稀で、

おおむね帰るのは終電間際になります。

10時~24時勤務などという長時間労働もザラです。

教室に泊まり込んで始発電車で帰るなんてことも…。

 

また、土日はテストやイベント、受験に向けた特別講座、保護者会などがあり、

これも朝から晩まで…。

入試本番に近いシチュエーションでテストをやるぞ、と言って、

朝9時から試験開始…ということは8時には出勤するわけで、

そんな日に限って夕方から保護者会があり、夜には補講があり…。

堂々の15時間勤務で週末を終えるのです。

 

アルバイト講師を主力としている塾であれば、

学生バイトが急に休んだりして時間割に穴が開くこともあり、

そういう場合は休日でも自分が出ていかなければならず…。

 

仮に、1日12時間勤務として、

月の休日数が5日ならば、25日勤務で300時間。
30万÷300時間=時給1000円です。

手取りで考えれば時給880円くらいに♪

 

「こりゃ、アルバイトの方が割がいいな」

と何度ボヤいたことでしょう。

 

さすがに、今はもう少し勤務実態は改善されている企業が

多いと思います(信じています)し、

今時こんな過酷な勤務を強いていたら大変なことに…。

(でも、あるんだろうなぁ…)

 

可愛い塾生のため、頑張る受験生のため、不安と闘う保護者のために

塾講師たちは、子どもたちの志望校合格と、「わかった!」という笑顔を

遣り甲斐に日々黙々と戦っているのです。

 

ちょっとカッコつけすぎですかね?

 

 

始めの質問に戻ります。

 

「塾の先生って、結構お給料良いんでしょ?」

 

さて…。