井上尚弥対タパレスの4団体統一戦の試合は、ナジーム・ハメド対マルコ・アントニオ・バレラのデチューンバージョン的になるであろうと、予想していた。

 実際に昨夜2人の試合を振り返ってみて、ハメドの動きから、トリッキーさを若干、スキと大振りを除いた質実剛健なタパレスと、バレラより更に万能型にスケールアップした井上尚弥の試合運びがもたらしたミックスアップは、素晴らしいものがあった。

 また試合に臨むにあたってタパレスには、被弾の覚悟と、数多のハードヒットを耐え抜く強い想定があったのであろう。歯を噛み締めてガードを固め、被弾しても両の拳を叩き合わせて、耐え抜いた自らを鼓舞し、次のアクションに臨んでいた。素晴らしくも崇高な姿勢を魅せていただけた。

 その準備をして、効かせることが出来たのは、井上尚弥のソリッドさと貫通力に尽きる。

 凄まじいばかりのハイレベルの試合展開を繰り広げ、歴史を創った両者に、この上ない称賛と感謝を伝えたい。

 歴史に残る名勝負を、ありがとうございました。