辻静雄さんが書かれた「フランス料理の手帖」。40年以上前のことではあるが、読んでみて、何に驚かされたかといえば、本物のコンソメスープの作り方における、その手間。そして何よりも、そのおしみないコストの掛け方、であった。そこには、当時日本が趨勢を極めていたレトルト文化とは、対局の料理の神髄が、したためられていた。この本に出会い、必ずやリヨンのレストラン・ピラミッドやポールボキュース、トロワグロやサンドランスのラルケストラートに行こうと心に決めたことを思い出す。
 実行に移したときに最も勢いのあった料亭は、なんといっても、三年でミシュランの三ツ星に駆け上がった、ジュエル・ロビションが奏でるパリの料亭ジャマン。ヌーベル・キュイジーヌといえど、その、コク、旨味、深み。今も舌に、蘇ってくる。
 今回、自分にとっての理想のハンバーグを作ろうと思い立ち、そもそも自分はどのソースが好きか、自問自答しているうち、デミグラスソースに囚われてしまった。そして、出会いましたよ、40年間注ぎ足して使っている、そして、新たな仕込みは7日間かけるデミグラスソースに。肉を煮ること8時間のビーフシチューに。
 こちらに行く機会を、虎視眈々と狙っている中、まったく別のプランで、高千穂行が成立。そして、あれま、熊本空港から西洋料理バンブは近接。大変ラッキーな旅と、相成りました。
 

 

 

 飛行機&レンタカーの旅の二日目の昼。フランスへの電話予約は大変だったなあなどと思い出しながら、いざ、熊本は玉名の西洋料理バンブへ。

 


 
 大変気立ての良い奥様に迎えられ、バンブの席につかせていただきました。レンタカーの運転につき、ノンアルビールで喉の渇きを潤し。
 
 
 お店がとても清潔にキープされていらっしゃいます。さすがですね。
 
 
 このバケットでソースを掬う、う~ん、想像しただけで、唾液噴出。
 
 
 そしてまいりました、ビーフシチュー。
 しょっぱくなく、しかし、深い旨味とコク、引き立て役の塩味、いや~、熊本まで食べに来て、想いは報われました。
 
 
 こちらはデミグラスソースハンバーグ。最近こっておりましたが、プロですね。帰宅し、改変の余地と方向性、学ばせられました。兎にも角にも、美味い。食べること=幸せになれる。頬が思わずほころぶ…、これこそ、プロのお仕事ですね。
 
 
 う~ん、やはり素人には再現不可能か。今はレシピを公開している星付きシェフも多ございますが、こちらのツイッターを拝見すると、仕込みにどのぐらい時間と労力をおかけになっているか、大変に参考になります。正に対価を支払う価値あり、それももって余りあるコスト・パフォーマンス。これは、驚くべきことです。プロの仕事とは、かくあるもの。しかと、記憶に刻み込みませていただきました。
 
 
 パンプキンパイにカヌレ。
 奥様に良質な温泉のありかを伺い、新幹線の駅も確認。泊まりに来て、ワインとディナーを楽しむという目標が出来ました。まだ見たい神社もありますし。
 
 
 
 いや~、ご馳走様でした。おいしゅうございました。
 レンタカーをデカいクラウンにしていただいたお陰で、快適な旅となりました。諸所感謝感謝。
 さて、フィナーレは車を返し、リニューアルしたての空港で、酒を。
 
 
 馬肉料理菅乃屋さんの、馬刺しの五種盛りをツマミにビールをグビリ。
 
 
 レバを追加し、日本酒を堪能。
 
 
 〆は、熊本桂花ラーメンに餃子ライス。
 
 
 日本は狭いようで、広いですな。美味しい西洋料理、中華料理をいただくにつけ、日本料理の素晴らしさもまた、痛感させられる次第です。
 
 
 次回は、味干ラーメンで〆ましょうかね。
 
 
 お蔭様で、一瞬で羽田につきました。
 食は正に、地政学の反映にして、命の源ですな。
 
 ちなみに上野精養軒でも、本格的なデミグラスソースがいただけますよね。こちらは仕込み9日間。
 
 
 では、また。